誕生日 Ao.T ページ25
『ただいまー』
「おかえり」
『···ん?何この匂い』
Aは部屋中に立ちこめる甘い匂いに眉をひそめた。
俺はちょうどできあがったケーキを切り分け、テーブルに持っていく。
「その正体はこいつだよ」
『えっ、ケーキ?』
Aは驚いた顔で皿の上のショートケーキを見て、そのまま俺の顔に視線を移した。
「今ちょうどできあがったところなんだ。一緒に食べよ」
『ああ、うん。すぐ着替えてくる』
部屋着になったAが椅子に座ったところで、俺は部屋の電気を消した。
『ちょっと碧、何してんの?』
「まだピンと来ない?」
『え?』
俺はAのケーキにロウソクを立て、ライターで火を灯した。
「お誕生日おめでとう、A」
『···すっかり忘れてた』
「だと思った。まあこの歳にもなると、確かに誕生日とかどうでも良くなっちゃうの分かるけどさ。俺からだけでも祝わせてほしい」
『ふふ、嬉しいわ。ありがと』
ふっ、とAが息を吹きかけて、細い煙があがった。
電気をつけて、今度は彼女に小箱を渡しに行く。
「これ、どうぞ」
『···開けていい?』
「もちのろん!」
彼女はしゅるしゅると丁寧にリボンを解いて蓋を開けた。その瞬間、表情がぱぁっと明るくなる。
『ピアスだ!可愛い!!』
「よかったー···。俺全然センスないから、マジでヒヤヒヤしてた」
『いや、超センスいいよ。めっちゃ私好み!ほんとにありがと!』
目をキラキラとさせて笑ったAは、その後俺お手製のケーキもペロッと平らげた。
(requested by りお様)
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茜屋(プロフ) - kangarooさん» 良かったです🫶リクエストありがとうございました!! (5月16日 16時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 茜屋さん» リクエスト書いてくださってありがとうございます!!めっちゃきゅんきゅんしました...。 (5月16日 15時) (レス) @page29 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 承りました!リクエストありがとうございます!! (2023年5月11日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - コメント失礼しますっ。リクエストで、傷跡シリーズの谷口書いてほしいです!いつもきゅんきゅんな物語ありがとうございます!! (2023年5月10日 22時) (レス) @page28 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - おさすみさん» 了解です!リクエストありがとうございます💞💞 (2023年5月9日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜屋 | 作成日時:2023年1月30日 8時