宥め Shogo.T ページ23
午後3時過ぎ。商談がまとまり、自社に戻ろうと駐車場までの道のりを歩いている。
そのとき、廊下の突き当たりの休憩室の中にAさんらしき人の姿を見つけて、俺は迷わずガラス戸を開けた。
「Aさん。お疲れ様」
『あ、彰悟さん。お疲れ様です』
Aさんはこの会社に務める社員さんで、俺と結婚を前提に内緒でお付き合いをしている人である。
振り向いた彼女の表情に、俺はとある違和感を感じた。
「元気なさそうだけど、なんかあったの?」
『···分かっちゃった?』
Aさんは悲しそうに笑って、時間ある?と俺に訊いてきた。
俺が頷くと、彼女は俺の腕をそっと掴んで歩きだした。
そして通されたのは、一人分だけの小さな仮眠室。
Aさんは扉に鍵をかけて、ベッドの縁に腰かけた。
『最近、部長からのパワハラが酷くて···。完全にあっちの指示ミスだったのに、私が始末書書かされたり、些細なことで皆の前で大声で怒鳴られたり·····』
Aさんの目からボロボロと涙が零れ落ちる。
俺は彼女を自分の膝の上に座らせて、ぎゅっと抱きしめた。
「よしよし。泣けるだけ泣きなさい。今までよく頑張ったね」
Aさんは俺の肩に顔をうずめて、幼い子どものように泣いていた。
「···うちの会社においで。設備も人の質もいいし、きっとAさんの肌に合ってるよ」
『···うん』
「そしたら、二人で籍入れに行こう」
Aさんが俺の背中に腕を回したのを了解と受け取り、俺は感謝の意を込めて彼女の首筋にキスをした。
(requested by もろこし。様)
277人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 良かったです🫶リクエストありがとうございました!! (5月16日 16時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 茜屋さん» リクエスト書いてくださってありがとうございます!!めっちゃきゅんきゅんしました...。 (5月16日 15時) (レス) @page29 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 承りました!リクエストありがとうございます!! (2023年5月11日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - コメント失礼しますっ。リクエストで、傷跡シリーズの谷口書いてほしいです!いつもきゅんきゅんな物語ありがとうございます!! (2023年5月10日 22時) (レス) @page28 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - おさすみさん» 了解です!リクエストありがとうございます💞💞 (2023年5月9日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茜屋 | 作成日時:2023年1月30日 8時