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妹 Ao.T ページ20

田中碧、18歳。受験期を迎えた今、俺は大きな悩みを抱えている。それは、


妹にどう接するべきなのか。



つい先日父親が再婚をし、突然できたひと回り年下の妹・Aちゃん。
彼女の警戒心を解こうといろいろと試行錯誤してみてはいるが、今のところ全く手応えを感じていない。



勉強の手を止めてキッチンに飲み物を取りに行くと、そこへAちゃんもちょうどやってきた。

Aちゃんは俺の顔を見るやいなや、表情を強ばらせて数歩後ろに下がった。


俺は膝をついて彼女の目線の高さに合わせる。



「どうした、おやつ取りに来たの?」

『···うん』

頭を撫でようと手を伸ばすと、Aちゃんは目を強く瞑って顔を逸らした。

いつもならここで手を引っ込めてしまうところだが、今日はそのまま頭を撫でてみる。



「そっか、自分で取りに来たのか。えらいえらい」


彼女はゆっくりと目を開いて、驚いたようにこちらを見た。



「大丈夫。怖くないよ」

『···』

「はい、これ。今日のおやつ。お茶はお兄ちゃんが持ってくね」



Aちゃんにおやつがのったお皿を渡し、コップに麦茶を注いでテーブルの上に置いた。
すると、後ろから袖口を引っ張られる。


『···あ、ありがとう·····おにぃちゃん』

「!!!」



俺は一瞬自分の耳を疑った。思わずもう一回言って、と聞き返す。



『おにぃ···ちゃん·····?』

「〜〜〜ッ!Aちゃんがお兄ちゃんって呼んでくれたぁ!!」

『?!』


俺は泣きそうになりながらAちゃんを抱きしめ、とにかくよしよししまくった。

そして突然我に返り、Aちゃんにくっついていた自分の体を慌てて引き剥がす。



「ごめんごめん、びっくりしたね」

『ううん』

「···じゃあ改めて、これからよろしくね、Aちゃん」

『···うん』




そのときはじめて、Aちゃんは俺に笑顔を見せてくれた。







(requested by あぱぁ様)

怪盗 Takumi.M→←シスコン Junya.I



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茜屋(プロフ) - kangarooさん» 良かったです🫶リクエストありがとうございました!! (5月16日 16時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 茜屋さん» リクエスト書いてくださってありがとうございます!!めっちゃきゅんきゅんしました...。 (5月16日 15時) (レス) @page29 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 承りました!リクエストありがとうございます!! (2023年5月11日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - コメント失礼しますっ。リクエストで、傷跡シリーズの谷口書いてほしいです!いつもきゅんきゅんな物語ありがとうございます!! (2023年5月10日 22時) (レス) @page28 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - おさすみさん» 了解です!リクエストありがとうございます💞💞 (2023年5月9日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茜屋 | 作成日時:2023年1月30日 8時

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