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_ Kaoru.M ページ14

ここは小児集中治療室、通称PICU。

俺は今、今朝喘息発作で緊急搬送されてきた5歳の女の子の状態観察を行っている。

ふと横を確認してみると、Aちゃんがちょうど目を覚ました。
俺は彼女に駆け寄って声をかける。



「Aちゃん、おはよ。よく眠れた?」

『···うん』

「体の調子はどう?楽になった?」

『うん』

「良かった。このままよくなればすぐおうち帰れるからね。もうちょっとだけ頑張って」


突然、Aちゃんは俺の手を強く握った。

俺もAちゃんの手を握り返して優しく声をかける。



「大丈夫?どうしたの?」

『やだ···やだ·····』


Aちゃんは泣きそうな目で首を横に振る。
背中をさすってあげると、落ち着いたのか握っていた手の力が緩んだ。



「もしかして、帰りたくない?」

そう訊いてみると、彼女は小さく頷いた。


「そっか。どうして帰りたくないの?」

『···おかあさん、こわい』

「!!」


驚きで声が出なかった。

さっき電話で話したときは、そんな気配なんて全く感じられなかったのに。


「···分かった。それは先生がなんとかしておく。じゃあ、また夕ご飯の後に来るね」


俺はAちゃんに布団をかけ、その場から離れた。



「碧、緊急会議。皆に集合かけてきて」

《え、今?》

「今。今すぐ。さあ、ダッシュだうちの看板看護師!ダッシュ!!」

《ほんっと人使い荒いんだから!》


そう文句を言いながらも、碧は休憩室のほうへと走っていった。


小児科医として、あの子の未来は俺が絶対に守る。
気を引き締めるように、ひとつ深呼吸をした。





(requested by あらの様)

妹 Kaoru.M→←保護 Junya.I



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茜屋(プロフ) - kangarooさん» 良かったです🫶リクエストありがとうございました!! (5月16日 16時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 茜屋さん» リクエスト書いてくださってありがとうございます!!めっちゃきゅんきゅんしました...。 (5月16日 15時) (レス) @page29 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 承りました!リクエストありがとうございます!! (2023年5月11日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - コメント失礼しますっ。リクエストで、傷跡シリーズの谷口書いてほしいです!いつもきゅんきゅんな物語ありがとうございます!! (2023年5月10日 22時) (レス) @page28 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - おさすみさん» 了解です!リクエストありがとうございます💞💞 (2023年5月9日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茜屋 | 作成日時:2023年1月30日 8時

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