_ Kaoru.M ページ2
「A、おはよ」
『···おやすみ』
「寝んな。もう7時だぞ」
『いやだ』
一緒に登校しようとAの家まで迎えに行ってみたら、案の定彼女はこの状態だった。
ここから学校までは自転車でだいたい30分かかる。そろそろ起きてもらわないと間に合わない。
ということで、Aから布団を剥ぎとる。
「ほら、頑張れ。始業に間に合わなくなるよ」
『いいよ別に。学校行きたくないし』
「···どういうこと?」
そう訊くとAは枕を抱き寄せて小さく丸まり、寂しげな声で言う。
『···私最近、クラスの女の子たちから除け者にされてる気がして。昨日の放課後も陰口言われてるの聞いちゃったし、あそこには居場所がないから···もう行きたくないの·····』
あまりの悔しさに手の先に力が入る。そして同時に、彼女をここまで追いやった奴らへの憤りがふつふつと湧き上がってくる。
「いや、だめだ。お前が行かなくなったらまさにそいつらの思うつぼだ。嫌かもしれないけど、意地でも登校して」
俺は震えるAの肩をぎゅっと抱きしめる。
「大丈夫。辛いのはもう今日で終わりにしよう。俺が絶対にAを守る」
Aは俺の腕の中でゆっくりと首を縦に動かした。
『···分かった、頑張る。薫のこと信じる』
「うん。もうこんな思いさせないから。信じてて」
俺は心に固く誓うように、Aを抱擁した腕に少しだけ力を込めた。
(requested by祈様)
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茜屋(プロフ) - kangarooさん» 良かったです🫶リクエストありがとうございました!! (5月16日 16時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 茜屋さん» リクエスト書いてくださってありがとうございます!!めっちゃきゅんきゅんしました...。 (5月16日 15時) (レス) @page29 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 承りました!リクエストありがとうございます!! (2023年5月11日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - コメント失礼しますっ。リクエストで、傷跡シリーズの谷口書いてほしいです!いつもきゅんきゅんな物語ありがとうございます!! (2023年5月10日 22時) (レス) @page28 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - おさすみさん» 了解です!リクエストありがとうございます💞💞 (2023年5月9日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜屋 | 作成日時:2023年1月30日 8時