選手としてみた、されてみたサムライブルー編2【短編集】

後押し Takumi.M ページ1

月曜日の朝、今日も今日とて恒例イベントが始まった。Aが俺の背中に張りついて全く動こうとしない。


「···A、ぼちぼち着替えてや」

『やだ、無理。学校行きたくない』

「俺も仕事行きたないわ」

『えーじゃあもう一緒にサボろうよぉー』

「そらあかん」

『えーーー』


Aは頭をぐりぐりと背中に押しつけてくる。


「行ってまえば結構あっちゅう間やで」

『そうだけどさー、一限目から嫌いな先生の授業なの。もうそれが無理』


お前嫌いな先生しかおれへんやん。喉元まで出かけたその言葉をぐっと飲みこんで、Aのことをそっと包みこむ。


「やったら、俺がAにおまじないかけたる。嫌いな先生の顔が俺に見えるおまじないや」

『嬉しいけど本物じゃないと嫌です』

「あ、ミッフィーのほうがええ？Aミッフィー好きやろ？」

『好きだけど嫌いな先生の顔面がミッフィーはちょっと···』

「···しゃあないな。ほな、とっておきのおまじないかけたる」



俺はAを自分の膝に乗せて、唇に少しだけ深いキスをした。


「帰ってきたらもう一回、もっと深いやつやったる。頑張れるか？」

『···うん！』

「よしよし、Aはえらい子や」


その日から、俺の日課に"Aに毎朝キスをする"という項目が追加された。

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