マフィン55 ページ10
『私の後輩に手、出さないでくれるかな』
凛とした声で言い放つ先輩の腕からはボタボタと血が垂れている
「ちっ」
防がれたことに腹が立ったのか、それとも僕の家に人がいたのか不満だったのか
勢いよくカッターを引き抜くストーカー
『っ・・・!』
更に血があふれて痛いだろうに、先輩はそいつから目をそらさない
「はぁ、マジで目障り。消えてよ」
こ「やめろっ!」
再度振り上げられたカッター
僕が先輩を引き戻すよりも早く先輩は動いた
『おらぁっ!』
「ぎゃっ・・・!」
そう、背負い投げをしたのだ
本当に綺麗な姿勢で、大きな音が出るほど勢いよく
そのせいかストーカーは悲痛なうめき声を上げて気絶した
どれだけ強くやったらああなるのだろう・・・、じゃなくて先輩!
ようやく我に返る
こ「せ、せんぱっ!」
僕が慌てて駆け寄ると先輩は容赦なくストーカーをヘッドロックしながら、こちらに視線を向ける
『大丈夫。まず警察よぼっか。そのあといろいろ話そう』
こ「うん・・・」
先輩は自分を責めるな、とでも言うように優しく微笑むが、僕は守られてばかりの自分に吐き気がした
こ「先輩、本当にごめんなさい。謝っても土下座しても、何しても足りない。先輩の気が済むなら殴ってもいいから」
病院を出て車に乗ってからそう謝りだす
その間ずっと頭は下げたまま
先輩の痛々しい腕を見たくないから
結局自分の事を優先してしまっている僕の下に影が差す
やっぱり先輩も怒ってるよね
大人しく受け入れようとしたけど殴られる痛みとかはなくて、ただ優しく包み込まれる
こ「え」
『ころんが仕組んだわけじゃないんでしょ?なら仕方ないよ。先輩は後輩を守りたくなるもんだから』
こ「でもっ」
先輩は気にするな、と言うけれど僕は気になって先輩にしがみつく
そしたら先輩は少し考えた後、悪戯っ子のように笑って言った
『じゃあアイス一本でチャラね』
こ「それで先輩がいいなら何本でも奢る」
僕がそう返すと先輩は手を挙げて口を開く
『じゃあハーゲンさん!』
こ「うん、いーよ」
『え、ホントにいいの!?冗談だからね!?ガリガリ君ぷりーず!?』
先輩がオロオロとソワソワが混じり合ったような動きをし始めた
なんだか少し笑えて来て僕がちょっと笑うと先輩も嬉しそうに笑う
『んふふ、これで一件落着!』
こ「先輩ありがと」
『いーえー!』
解決方法も要求するものも、全部先輩らしくて優しくて、また僕は惹かれていた
461人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「すとぷり」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なずな(プロフ) - なんでこんなに面白いお話が書けるんですか?私には絶対無理。もう笑いすぎて頬の筋肉痛い。まぁ面白いからいいか!← (2022年5月10日 21時) (レス) id: 6bfa476d19 (このIDを非表示/違反報告)
わ - ころちゃん可愛い (2022年4月5日 11時) (レス) @page24 id: 36cf69f96f (このIDを非表示/違反報告)
猫だと被る。じゃあどうしろと!?(プロフ) - あおぞら(`・ω・´)さん» んふふ、そうだね、確かに。いかにタイトルで人を集めるか、みたいなとこあるし。うん、すっごいブーメラン刺さってんね! へへ、これからも頑張るー! (2021年8月27日 1時) (レス) id: 96098a2a12 (このIDを非表示/違反報告)
あおぞら(`・ω・´)(プロフ) - 大分前から思ってたんやけど猫かぶちゃんのお話の題名独特やよね(お前が言えることやない)てか!!まだ途中までしか読めてないけど天才すぎん?!猫かぶちゃんの作品は神だぁぁ!!頑張ってねっ! (2021年8月27日 1時) (レス) id: 11b3922fd9 (このIDを非表示/違反報告)
猫だと被る。じゃあどうしろと!?(プロフ) - んふふ、皆さんありがとうございます!続編営業中なのでぜひぜひ・・・(( ルユリさん、掛け持ち七個なんて気のせいですよ(((^ω^ ))))カタカタカタカタ (2021年6月30日 19時) (レス) id: 96098a2a12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:猫だと被る。じゃあどうしろと!? | 作者ホームページ:http://hono
作成日時:2021年4月28日 17時