才能 【ヒカル】

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リビングへ戻るともうロケマサは戻っていた。
ヒカルに何を言われたのか気になるけど、そこは忠実な部下だから言わなさそう。



『捧さん遅いっすよ、』


｢ごめんごめん、父親の気持ちになっちゃって笑｣



ひらひらとあたしに向かって手招きするヒカル。
もう隠す気は一切ないみたい。



『Aちゃん、膝枕』


｢え、ずっとその呼び方なの｣


『ええからはよ』



ソファの上に寝転がりかけていて準備万端の様子。
するっと滑り込めば、上手い具合に頭が膝へ着地した。



とそこへあたしの隣に相馬さんが座る。
いつもハンモックにいるからソファに来るのは珍しいんだが。



｢相馬さんどうしたんですか？｣


｢いやうんちょっとねヒカルの幸せそうな顔見とこかなって｣


『相馬さん邪魔しないで下さいあっち行って下さい』


｢辛辣すぎない！？｣



早々に追い出されちゃいました。
相馬さん前科(?)もあるもんね。
名人に泣きつきに行きました。
ロケマサも一緒に慰めてあげています。



良い弟たちですね。



と、さっきのを見ても懲りることなく次にまえっさんがあたしの隣に座りに来ました。
ヒカルはずっと携帯見てるけど気配で分かったらしく、今度は言葉も無しに手の平でシッシッと犬でも追い払うかのような仕草をしてる。



｢ヒカル｣


『何もう邪魔すんなって』


｢あの動画、あのままで流すんやな？｣



携帯をスクロールする手は止まらない。
どうでもいい質問に返す時のようにさらりと答えた。



『流すで』



あれをカットして別のシチュエーションをやることは出来た。
察しの良くないまえっさんだけど、今回ばかりはそのたった4文字にヒカルの決意と意思が込められていることが分かったらしい。



頷いてそれ以上、何も言うことは無かった。

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