才能 【ヒカル】

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ダメでした。
完敗ですわたくし。



子犬というのはこんなにも成長するものか？
ちょっと成長しすぎじゃない？
びっくりしてる。



｢ねえAちゃん固まっちゃったじゃん笑｣



相馬さんの声で自然とロケマサ劇場はカットがかかる。
ロケマサが離れても尚、さっきのセリフが頭をループしてなかなか顔が見れない。



くそぉ、こんなので照れるようではあたしもまだまだだな…



｢めっちゃ照れてるじゃないすか、可愛いー笑｣


｢やめろ？｣


｢Aさんかわいー笑｣


『次、名人いこ』



ほのぼのした空気の中で1人。
刺すような冷たい声。
画面には映ってないけど、今までずっと黙っていたヒカルの顔は随分険しくなっていた。



そんな中でもロケマサは良い意味で空気を読まずニコニコしながら名人に場所を譲る。
名人はちらちらとヒカルを伺うけど、観念したようにソファーへ座ってゲーム機を持ち出した。



｢じゃあ名人どんな設定でいくん？｣



空気を読みすぎてしまう相馬さんに代わり、まえっさんが趣旨を聞く。



｢俺がゲームやりすぎてAが拗ねるっていうのでいきましょうかね｣


｢リアルやな笑｣



それでは続きまして名人劇場です。
ポトフちゃん、すみません。



全国の名人ファンの方はきっとこの先名人がこんな事をするのはないと思いますのでどうか大目に見てくださいますようお願い申し上げます。



｢ねえ名人ー、｣


｢…ん？｣


｢何してるのー｣



ゲーム機を持ってテレビに釘付け…という表情の名人の隣に座る。
こっちを見ようとしないので、何とかこっちを見させようとしてみたけどそこは名人。



自分の意志をしっかり持ってらっしゃるのでちょっとやそっとでは動かない。
…さて、どうしよう。

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