才能 【ヒカル】

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このカリスマはふとした時にこういう発言をしてくる。
女であれば勘違いしてしまうような正に少女漫画でしか聞かないセリフ。



ドS王子。
その愛称もあながち間違ってはいない。
現世に残る希少な存在であり飴と鞭を使いこなす。
誰にでもこういう態度なので、あたしとしては何も思わないようにしているが、それでもたまにキュンとくるのだからファンは毎度死に瀕しているであろう。



キャスもたまに聞くけど最後の言葉はすごく胸を撃ち抜かれるもんね。



｢相馬さん終わりましたよ、次名人とヒカルどっち、｣


『俺やろ』



何人たりとも言葉を挟ませず、流れるように相馬さんの後に座る。
ここでやっといつもの携帯チェックに入った。



名人に視線でいいの？と聞くとパソコンの向こうから小さく頷いたのが見えた。
まあ隣のロケマサももう終わりそうだし名人は捧さんに任せればいいか。



『せえへんの？』



作業がすぐに始まらなかったからか、携帯から目を離してあたしを見ていた。
椅子に座ってるからあたしの方が少し高くて必然的に上目遣いになっている。
…こっちにも違う部類ではあるけど子犬がいる。



｢や、やるやる｣



慌ててコットンを取り出して化粧水を含ませた。
すっぴんでノーセットでも十分イケメンだけど、あたしの手で一段とキラキラしていくのを見ているのが楽しい。



髪の毛、今日どうしようかな。



『えらい笑顔やん』


｢ヒカルがイケメンになってくからね｣


『元からやけどな』


｢そりゃ失礼｣



結局ヒカルの希望通り前髪を上げてセンター分けにした。
いつものキラキラヒカルだ。



できたよ、と鏡を見せればちょいちょいと自分で最終確認をしてありがとうなと言ってくれた。
綺麗な顔で、彼は笑う。

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