75*一口。 ページ35
ホームセンターは海沿いにあるから、海岸線が見える道路を車で走る。
少しだけ窓を開けると、涼しい風が入ってきて気持ちがいい。
お腹空いたね、ってなって、
私たちは近くのパン屋さんでパンを選んで、
高台にある公園のベンチに並んで座った。
「Aちゃん、何にしたの？」
「私は、トマトチーズパンと、ミルクフランスです」
「何だか洒落てるねぇ！」
うん、ネーミングセンスに惹かれてしまった。
「智さんは？」
「おれ？メンチカツコッペと、チョココロネ、あとクリームパン」
「ふふ、定番」
「子どもの頃から、好きなんだよねぇ」
確かに子どもの頃、私もチョココロネ好きだったかも。
「いただきまーす」
きちんと手を合わせて、パンの袋を開ける。
「うまぁ」
目を細めて、幸せそうにパンを頬張る智さんを見てると、
もはやそれだけでお腹いっぱいだ。
「ねえAちゃん」
「はい？」
「一口、交換しよっか」
智さんはニコって笑って、何でもないかのようにかじりかけのチョココロネを差し出した。
え、これは完全な間接キス…⁉
どうしよう、私の食べかけを智さんが食べて、それをまた私が食べるなんて…
「あっごめん、苦手だった？」
智さんがちょっと申し訳なさそうに眉尻を下げる。
全然そんなわけじゃないのに、勘違いさせちゃうのは申し訳ないし、
何なら、ちょっとだけドキドキしてる自分がいるんだもん。
「あっ、全然っ、違いますよ、交換しましょう！」
覚悟を決めて、私は智さんの方を向いた。
「はい」
「…えっ？」
パンを渡してくれるのかと思ったら、
智さんは間違えなく私の方にパンを向けて、グイグイっと迫ってきてる。
これは、世に言う「あーん」というやつなのでは？
智さんが、私に…
近づいてくる智さんの瞳に、私の頭クラクラして、もう飽和寸前だ。
結局私は口を開けて、智さんのメンチカツコッペを一口かじった。
「美味しいです…」
「ね、美味しいよねぇ」
智さんは、何事もないかのようにニコニコ笑ってる。
これが平気だなんて、無意識だなんて、大野智、本当に恐ろしい…
「Aちゃんのも食べたい」
「あっ、どうぞ」
流石に自分から「あーん」ってすることはできなくて、
私は袋ごと、智さんにチーズパンを差し出した。
「ありがと」
って受け取った智さんはパンを一口かじると、「お洒落な味がする！」って喜んでたけど、
私はさっきの「あーん」でノックアウト寸前で、正直頭の中がごっちゃごちゃだ。
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璃夢(プロフ) - みっきさん» みっきさん、コメントありがとうございます。智さんのほんわかと優しさ、感じていただけて嬉しいです。私も書きながら癒しのパワーをもらってます笑 これからもどうぞよろしくお願いいたします♪ (2020年6月10日 0時) (
レス) id: 7d2e6a298f (このIDを非表示/違反報告)
みっき(プロフ) - 初めまして(^^)いつも楽しみに読ませていただいてます♪智くんのほんわかと優しい癒しオーラを感じて毎回読み終わったらほっこりしてます。次回更新も楽しみに待ってますね♪ (2020年6月4日 0時) (レス) id: 0364fca5be (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - かえるさん» かえるさん、コメントありがとうございます。お話楽しんで頂けて、とても嬉しいです♪青い鳥の開設、今準備中なので、用意が出来たらすぐにお知らせしますね^ ^ これからもよろしくお願いします！ (2020年5月31日 0時) (レス) id: f209da7995 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！！差し支えなければ、智さんの新しいお家の見取り図が見てみたいです(^^) (2020年5月23日 1時) (レス) id: a9f7041f7f (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - ゆうにゃんさん» ゆうにゃんさん、コメントありがとうございます♪ ドキドキしていただけて、とっても嬉しいです。これからもどうぞ宜しくお願いします！ (2020年5月20日 9時) (レス) id: f209da7995 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃夢
| 作成日時：2020年5月17日 22時
