第七話 ページ8
極道*
「……ん、毒は入ってないみたいだな」
「だから入れて無いって言ってるでしょっ」
む、とした顔をする椿に、「済まないな」と笑った。
「女はあまり信用するタチじゃないんだ」
「なっ、酷い!」
「こうなったのも生まれのせいだ、仕方ないだろ?
お前だって一時期、ボディーガードを全員女に変えたことあるくせに。
あんな華奢な奴ばっかで、下手したらお前が殺されてたぞ」
「そ、それは」
口籠る椿。
俺は小さな溜め息を漏らした。
「自分の身、守れるように少しは考えないとな。
柊は俺が継がないと、大奥が面倒くさい」
「……葵は、柊を維持したいとか保ちたいっていうの。
そういうの、ある?」
「いや、ないな。
俺自身は、柊は別に潰れようが構わない。
食って生きていけるだけの金があるなら、って話だけど」
「なら」
椿が身を乗り出す。
するり、指を絡められる。
「!」
その瞬間、びりっ、と身体に電流が走ったような衝撃が起こり、一瞬にして全身が熱くなった。
鼓動は早く、息も熱く荒いものになる。
「椿……」
「ん?
どうしたの、赤い顔して。
私に惚れてくれた?」
「なにっ、飲ませやがった……っ」
ぎり、と歯ぎしり。
椿の口角が持ち上がった。
その姿が、
「葵」
するり、また彼女の手が俺の頬に触れる。
払おうとしても、身体が上手く動かない。
椿は愛おしいものを見る目で俺を見つめて。
「自分の身は自分で守りなさい、葵。
でも貴方、本当に可愛い子ね。
私は「毒は盛ってない」って言ったけど、「何も盛ってない」とは言ってない」
まさか、こいつ薬を俺に――
「好きよ、葵」
女の唇が、俺の唇に触れた。
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空弥(プロフ) - 木の実☆(このみ☆)さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます!三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ハァト)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます!ウルウルしてくださったんですか!?ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます!私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます!こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時:2018年9月24日 15時