第三十四章 ページ37
極道*
その後も迫りくる敵を薙ぎ払い、打ち抜くことを繰り返していくうちに、尋問所へとついた。
極道の尋問所を舐めてはいけない。
真っ当な世界には、決して見せることのできない場所だ。
今では大分麻痺したものだが、そこから聞こえるような断末魔のような叫び声に、幼い頃は何度も耳を塞ぎたくなった。
自分がこの世界に生まれ無ければ良かった、とさえ思った。
それほどまでに、恐ろしい場所であるということ。
ごくり、唾を飲む。
鍵は開いているのか、ドアは容易く開いた。
その刹那だった。
凄まじい速さで飛んでくる黒い塊。
咄嗟にそれをよけようとしたが、見切りを間違え右肩が裂ける。
突然のことに、拳銃を落とした。
冷たい床で銃は弧を描き、くるくると遠くへ飛ばされる。
びりっ、と焼けるような痛みが、俺の右肩に襲い掛かった。
「あ゛っ……!」
『葵さん!
ちょ、肩!』
聞きたかった声。
俺は痛む右肩を抑えて、前を見据えた。
間違いない、Aだ。
あいつだって手錠や足枷、閉じ込められていたストレス何かもある筈なのに、俺の肩なんか心配して。
そっちのほうが、辛かっただろうに。
涙を溜めて枷を懸命に外そうとするその姿に、胸が締め付けられる思いがする。
直ぐにでも、俺が……。
「次期頭でも、当たる弾は当たるんですね」
ふいに声がして、俺はそちらを睨みつけた。
立っていたのは、少し大きめの銃を持った一人の男。
その顔には見覚えがあった。
「極悪非道で有名な葵様なら、てっきりこれくらいの弾ならよけられるかと思っていましたが……。
やはり無音銃は性能がよろしいようで」
「……お前は、あの、時の」
「嗚呼、覚えていてくださったんですか。
嬉しい限りです」
男は、深々と礼をした後。
にこり、口角を持ち上げた。
「私、椿お嬢様のボディガードを務めさせて頂いております。
今回は貴方様にお願いがございまして。
椿お嬢様との婚姻か、愛する人の死か。
……さぁ、どちらかをお選びください」
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空弥(プロフ) - 木の実☆(このみ☆)さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます!三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ハァト)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます!ウルウルしてくださったんですか!?ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます!私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます!こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時:2018年9月24日 15時