第三十一章 ページ34
極道*
部下を招集させ、黒塗りのリムジンに乗り込む。
リボルバーと弾丸を渡されて、弾をポケットにねじ込んだ。
「すみません、いつもの銃と日本刀は用意できませんでした」
「いい。
こんな私情にも関わらず即急に準備してくれたこと、感謝している」
「……若」
スマホを弄り、Aに連絡を入れてみたが繋がらないまま。
ふぅ、と息をついた時、隣に座っていたボディガードのトップが「若」と俺を呼んだ。
「どうした?」
「若、随分と優しくなられましたね」
彼の表情は、きっと俺が見た中で一番柔らかな笑顔だったろうと思う。
「Aさんのお陰ですか」
「……嗚呼、あいつのおかげで大分馬鹿になったみたいだ」
「若は生真面目ですから、ちょっと馬鹿なくらいがいいんです」
「おい」
「でも、そんな素晴らしい方だったら早く助けないと、ですね」
「嗚呼」
かちゃ、と銃に触れる。
黒、という色は、どうしてここまで凍てつくものを帯びるのだろうか。
鬼と化した、俺のように。
あいつに、Aにこんな世界を見せたくはなかった。
ゆっくりと息を吐くと。
「若」
とん、と肩に手が置かれる。
俺よりもずっと長く、こういう世界で生きてきた手が。
「今回、貴方は悪いことをしたわけではありません。
堂々としていればいいんです。
Aさんも……、分かってくれますよ」
ぎゅ、と下唇を噛んだ。
涙が、零れそうだった。
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空弥(プロフ) - 木の実☆(このみ☆)さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます!三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ハァト)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます!ウルウルしてくださったんですか!?ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます!私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます!こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時:2018年9月24日 15時