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第二十二章 ページ23

『……パーティ?』

「嗚呼」


葵さんが着物を脱ぎながら、深い溜め息を吐いた。

俺は樹と食器を片しながら、『それがどうかしたの?』と聞く。


「本当はすごく行きたくないんだがなぁ……。

他の組の頭も顔を出すとなるとなぁ、行かないと顔が立たない」

『ふぅん……、行っても俺は気にしないよ?』

「いや、そういうことじゃ無くてな」


彼はこめかみに手をやって、それから二度目の溜め息。


「……お前も連れてこい、って」

『え』

「母さん危ない!」

『う、うん、ごめん。

ありがと』


落としそうになった食器を、樹がすんでのところでキャッチしてくれた。

流石は反射神経も鍛えられているだけはある。

樹は葵さんを睨むと、「母さんを急に驚かさないでよ」と父親に怒った。


「母さん、ただでさえ不器用なんだから」

『うっ』

「悪い。

だが、これが向こうからの要望なんだ。

ああいうことがあった手前、俺は気のりしないんだがなぁ……」


ああいうこと、っていうのは無理矢理椿さんを嫁にするよう、彼女に迫られたときの話だろう。

「いざこざは生みたくないから」という理由で葵さんに教えてもらった。

確かに敵の陣地に飛び込むようなことではあるけれど……。


『……いーよ、葵さん。

俺、行くよ』

「A!?」

『ほら俺、昔カジノでディーラーやってたじゃん。

だから煌びやかなところは結構好きなんだよね』

「でもなぁ……」


渋る葵さん。

俺は彼を見ると小首を傾げて。


『……葵さん、一緒に行こう?』

「うぐっ」


微かに頬を緩ませて。

葵さんは口元を抑えて一度唸ると、「……どこでそんなの覚えてきた」と一言。


「……分かった、連れてく。

ただ、絶対に俺から離れるなよ」


それだけ言うと、葵さんは慌てたように部屋を出て行ってしまった。


「……父さんの溺愛も大概だよね」

『何のこと?』


ここのところは、しらばっくれておいた。

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空弥(プロフ) - 木の実☆(このみ☆)さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます!三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ハァト)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます!ウルウルしてくださったんですか!?ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます!私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます!こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/  
作成日時:2018年9月24日 15時

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