第十二話 ページ13
「ただいま」
がちゃがちゃ、と鍵を開ける音がした後、葵さんの声。
俺は玄関へと急ぐ。
ただ、いつもと違うのは、入ってきた靴音が二人分だということだ。
『おかえり、葵さん。
後……、君は初めましてだね』
少し腰をかがめて、そこに立っている幼い少年に笑みを向けた。
他所行きの服、お洒落な帽子、品のよさそうな顔立ち。
「ほら、挨拶しろ」
葵さんが促すと、少年はそっぽを向いた。
如何にも「喋りたくない」とでもいうように唇を突き出して、横目で俺を睨んでくる。
俺は、ぽんぽんと彼の頭を撫でた。
『カッコいいの、着てるね。
組のお兄さんに買ってもらったの？』
「……おじさん、誰」
「おい！」
俺のことを「おじさん」と呼んだ少年に、葵さんが眉を顰めて怒鳴る。
今にも拳を落とそうとしている葵さんを、『いーよいーよ』と窘めた。
『そっか、おじさんに見えちゃうか〜。
自分じゃまだ若いって思ってたんだけど、君くらいの歳の子からしたら、俺も大概おじさんだよねぇ』
ふわり、彼の帽子を手に取る。
その帽子は新品で、鍔のところに金色の糸で小さな刺繍が施してあった。
『人に名前聞くときは自分から、だったね。
俺は、シエル・A。
この国の人間じゃないから変な名前してるでしょ』
「……この国の人じゃ無い？」
少年はちょっとだけ顔色を変えて、俺のほうを向いた。
「……何でこの国の人じゃ無い人が、極道なんかと一緒に住んでるの」
『ん？』
「外国人は、僕たちと関わるきっかけなんて普通ないでしょ」
『んー、うん。
そうなんだけどね』
「もういいだろ」
ぐい、と葵さんが俺の腕を掴んだ。
「続きは夕飯の時だ。
俺は腹減った」
珍しく我儘に。
俺の腕を掴んで、少年のこともそのままにリビングへと引きずっていく。
『ちょっと、あの子と喋ってるのに』
「……」
『……まさかあの短期間で妬いた？』
「五月蠅い」
『え〜……？』
ぐ、と腕を引く強さが強くなったのが分かって、俺は諦めて『勝手に入って大丈夫だよ！』と、玄関に向かって叫んだ。
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空弥(プロフ) - 木の実☆（このみ☆）さん» 椿お嬢様あああああ(便乗)彼女はホントはいい子ですはい……。ありがとうございます！三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (
レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - アカツキ@鞠さん» ありがとん(ﾊｧﾄ)((某は三弾書いたでb (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - シェエラさん» ありがとうございます！ウルウルしてくださったんですか!？ほわあああ、嬉しい……。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - メロン大好き星人さん» ありがとうございます！私としても、書いてて面白い回でした。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
空弥(プロフ) - 桔梗さん» ありがとうございます！こんな作品を楽しみにしてくださるなんて……、嬉しい限りです。三弾、更新いたしましたので、今後ともよろしくお願いします。 (2018年10月27日 20時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空弥 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/karaichi2422/
作成日時：2018年9月24日 15時
