第十八話 ページ21
裕翔side
ぱちり、瞳を開く。
最初に見えたのは、よく見慣れた天井だった。
二度瞬きを繰り返し、それから。
それから、首だけで横を向いた。
「嗚呼、起きたか」
そこに居たのは裸に毛布を腹まで掛けて、既に起きている男。
さらり、その人は俺の髪を梳いた。
愛おし気な視線、弛んだ目元、困ったように下がった眉。
その姿を見るだけで、腹の奥がきゅうんと疼いて、どうしようもなくこの人を好きだと思ってしまう。
俺はゆっくりと身体を起こした。
腰はずっと甘い痺れを纏っていて、そう簡単に言うことを聞いてはくれなかったけれど。
「お、おい、起きて大丈夫なのか」
「……ん、大丈夫」
途中までは起き上がれ切れたものの、腰をそのまま保っておくのが辛くなって、俺はその人の肩に身体を預けた。
甘えるつもりでそのしっかりとした肩に頬を摺り寄せれば、ぐい、と肩を抱き寄せられる。
「何だ、朝から積極的だな」
「いいじゃん。
……今はこうしていたい。
仕事、行くまでもう少しあるでしょ」
こう言うと、彼は「はは」と苦笑いして。
「それなんだが、さっき無理言って有休貰った」
「えっ」
「俺も今日は暫くお前とこうしてたかった、……って言ったらダメか?」
「……ダメじゃないよ」
少し俯き加減でこう返すと、「良かった」と声。
この人の言葉に嘘はなくて、何度も胸がときめく。
今まで何人かに無理に抱かれたことはあるけれど、「愛のある行為」がこれまでに幸せだということを、俺は痛いほどに感じていた。
「それにしても」
男がまた口を開いた。
「いいな、コレ」
俺の項を指でなぞる。
ちりっとした痛みが一瞬。
彼は満足げに笑みを浮かべた。
「俺のもの、って感じで」
「……離さないでよ」
「当然だ」
ねぇ、聞いてよ。
俺はAさんと番になれて幸せだよ。
貴方が好きで堪らないよ。
だから、ずっと側に居て。
「……ねぇ、Aさん。
今日はトーストに玉子のせたの食べたいな」
「そんな手抜きのでいいのか」
「うん」
俺は旦那さんの顔を見て、屈託ない表情で笑った。
――
凄く最終話っぽい書き方しましたけどまだ続きます、はい
眠い、おやすみなさい
なんかBL onlyの小説集団合作とかやってみたいよね
参加者いなさそうだけどさ
夢とか二次があったらそういうのもあっていいと思うんだけど違う?((
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空弥(プロフ) - 桜坂さん» わああああ、よきですよきですっ。電車でイチャイチャしてるところめっちゃ書きたいです……。ありがとうございます、更新ゆっくりですが、お付き合いいただけると嬉しいです (2018年11月10日 21時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
桜坂(プロフ) - 以前コメントさせて頂いたものです!デートの案なのですが遠出して海を見に行くなどもいいのではないでしょうか?電車の小話とかも出来ますし、それとこれからもゆっくり頑張ってください (2018年11月7日 19時) (レス) id: 96c3d36cf4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼紫(プロフ) - 希羽(  ̄▽ ̄)さん» 18↑のほうに書いてます。オブラートに包んでないので(汗)18になってからまた読みに来てください! (2018年9月9日 14時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
希羽(  ̄▽ ̄) - 第17話の間の話って、18↑ですか? (2018年9月9日 12時) (レス) id: 0d606e3b63 (このIDを非表示/違反報告)
希羽(  ̄▽ ̄) - もう最高ですぅぅぅ、、、。 私まだ18↑読めないんですよね、、、、。残念過ぎます、あと何年だろう。 (2018年9月9日 12時) (レス) id: 0d606e3b63 (このIDを非表示/違反報告)
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