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第三話 ページ3

溢れるフェロモンが濃ゆい。

大抵のΩはこういうとき抑制剤を飲んで効果を薄めるらしいから、ここまで濃いにおいは嗅いだことがなかった。

チョコレートより甘く、果実よりも芳しいその匂い。

俺の下半身は直ぐに熱を持ち、沸々と醜い欲が脳味噌を支配していく。

額から汗が伝い、頬を流れていった。


「……っ」


犬歯を食い縛って、男の傍にしゃがみ込んだ。

変な気を起こさないように上司の薄くなった頭を思い浮かべながら、その肩を揺り動かす。


「お、おい、じゃなかった。

大丈夫ですか。

あの、何方さんですか。

ここ俺の家なんですけど。

なぁ、起きて」

「んん……」


少々眠たげな声。

男が目を細く開くと、その瞳からころりと涙の粒が零れ落ちた。

その瞬間、自分の中に何か来るものがあり、思わず彼のさらされた腕に爪を立てそうになる。

落ち着け、この涙も少し紅潮した頬も艶を含んだ声も、寝起きだからこその生理現象だ。


「あ、嗚呼よかった。

あなたの家って何処なんです?

タクシー、呼びましょうか?」


何故俺は今日で二回もタクシー会社に連絡しなきゃいけないんだ、という愚痴は置いといて、スマホを取り出すと、男はワイシャツの布をくい、と小さく引っ張った。

Ωに触れられたことで、息が上がり心臓がどくどくと激しく脈打つ。


「ちょっと」

「にゃあ」


男は一声鳴いた。


「お兄さん、今日だけでいいから家に泊めてよ。

俺、「ネコ」だからお兄さんが止めてくれたらご奉仕するよ?」


ぐらり、眩暈がした。

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空弥(プロフ) - 桜坂さん» わああああ、よきですよきですっ。電車でイチャイチャしてるところめっちゃ書きたいです……。ありがとうございます、更新ゆっくりですが、お付き合いいただけると嬉しいです (2018年11月10日 21時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
桜坂(プロフ) - 以前コメントさせて頂いたものです!デートの案なのですが遠出して海を見に行くなどもいいのではないでしょうか?電車の小話とかも出来ますし、それとこれからもゆっくり頑張ってください (2018年11月7日 19時) (レス) id: 96c3d36cf4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼紫(プロフ) - 希羽(  ̄▽ ̄)さん» 18↑のほうに書いてます。オブラートに包んでないので(汗)18になってからまた読みに来てください! (2018年9月9日 14時) (レス) id: 87c9fca00c (このIDを非表示/違反報告)
希羽(  ̄▽ ̄) - 第17話の間の話って、18↑ですか? (2018年9月9日 12時) (レス) id: 0d606e3b63 (このIDを非表示/違反報告)
希羽(  ̄▽ ̄) - もう最高ですぅぅぅ、、、。  私まだ18↑読めないんですよね、、、、。残念過ぎます、あと何年だろう。 (2018年9月9日 12時) (レス) id: 0d606e3b63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:空弥 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年8月24日 21時

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