リアリストの葛藤【２】 (ページ10)

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マネージャーさんの一言でスタジオ内にいたメンバーの方々が集まる。

先日会った浦川さんと陸さんは私に気が付いたようで会釈をしてくれた。

武知さんとの会話と、MVで予習したとはいえまだ全員の名前と顔は一致していない。

私の彷徨う視線に気が付いたのか、1人ずつ自己紹介をしてくれることに。

陣「ほな、リーダーとボーカルから順番に…」

自己紹介が一周して、人数が足りない事に気づく。

そうか、全員は居ないってさっき言ってたな…

ていうか人多くて気が付かなかったけど武知さん居ないや。よかった。

や、決して会いたくない訳じゃないです。どう対応したらいいか分からないだけで。、

マネ「今日いないメンバーはボーカルの川村壱馬と、パフォーマーの武知海青で…他は皆揃ってるので、聞きたい事とかあったらどんどん聞いちゃってください」

「ありがとうございます」

陣「ずっと立ちっぱもあれやし俺椅子持ってくるわ」

「え、あ、お構いなく！」

踊る彼らに比べたら立ったままな位なんて事無いんだけど、リーダーさんはそのまま椅子を取りに行ってくれた。

手持ち無沙汰に待っていると、隣に誰か近づく気配。

目線の先には陸さんがいた。

陸「タイミング悪かったね、今日海青居ないんだよ～」

「え、あぁ、まぁ後で映像いただくのでそこまで問題はないですよ」

陸「そ？」

「はい」

なんだろうこの人、めっちゃ見てくる。

笑顔だし嫌な感じは無いけど、ずっとにこにこ見られても困るというか…

意図が分からないまま目を離せずにいると、リーダーの人が戻ってきた。

陣「お待たせしました～この椅子使ってください」

「わざわざありがとうございます」

陣「いえいえ。こちらこそ海青がお世話になってます～」

「えっ、あ、はぁ」

え、この人とは初対面なはず。あの人何人に私の話してるんだ。

あとなんか陣さんは喋り方が実家の母親みたい。お世話になってますの言い方が特に。

これは多分お節介タイプ。

若干居心地の悪さを感じながらも、とりあえず仕事に取り組むため資料とクロッキー帳を揃える。

陸さんとリーダー改め陣さんも他のメンバーと合流しそれぞれ打ち合わせをしだした。

「すっご…」

事前に観ていたMVの世界観はもちろん素晴らしいが、生の動きを見るのはやっぱり違う。

カメラの枠に収まることなく躍動する彼らを見られただけでも来る価値はあった。

来るの渋っててすみません社長。

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