リアリストの葛藤【２】 (ページ24)

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「ぎゃ、マップ送られてきた！何考えてんだこいつ！」

こっちの動揺なんてつゆ知らず、しれっとマンションの位置情報が共有された。ご丁寧に部屋番号付きで。

個人情報の管理とか、事務所で指示ないのか。

いや…恋愛禁止で売ってるアイドルじゃあるまいし、事務所だって成人男性の交友関係にいちいち指導なんかしないか。

『そうじゃなくてね？週刊誌とかだよ』

海青『一緒に入るならともかく、ピンポン押すだけよ？』

海青『廊下も内側だから道路から見えないし』

確かに私の住む低家賃のアパートと違って彼の住むマンションはオートロックだし、廊下も室内だし、戸数も多いから特定されることなんてほぼないだろう。

正直ベランダに並んで出でもしない限り週刊誌も何もしようがない。

行っても大丈夫…なんじゃない？

というか何よりチョコ食べたい。

『じゃあお言葉に甘えて明日行きますね』

海青『(OKのライオンのスタンプ)』

海青『帰る時間分かったらまた連絡する』

『了解』

やり取りを終えたスマホをテーブルに置き、再度頭を抱えた。

今度は気恥ずかしいとかじゃなく自分に呆れて。

散々個人情報がとか言って、なんならマンションの構造だって前に行ったときに知ってた上で言ってたのに、いざ自分の好物がそこにあるってなったらOK出すとか…

「か、完全に食べ物につられたやつじゃん…恥ずかしい…」

なんかもう彼がわざわざ自分のために買ってくれた事とか、恐らく好意的に見られている男性の部屋へ行く事より何より自分が恥ずかしいわ。

本来照れるであろうタイミングを逃したと思う。

受け取ってばかりで申し訳ないので、置いたばかりのスマホをとって”武知海青好きな食べ物”で検索する。

「せめて手土産持っていこうかな…」

好きな食べ物：肉、ステーキ
嫌いな食べ物：赤いもの

…肉だってレアなら赤いやろがい。どういうこっちゃ、意味わからん。

肉持参して他人ん家行くって…鍋パでもするんでしょうか。ていうか今減量してたら何持っていっても多分困るよな。

これが女性なら入浴剤とかでもいけるんだけど男性だし好みも分からないしな。

「ん〜思いつかない…」

持ち歩くことを考えてナマモノは×、減量中の可能性を考えて賞味期限の短いものは×…難易度高くない？

もういいや、明日行く前にお気に入りの店いくつか回ってみよう…

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