addiction (ページ21)

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不機嫌さを隠そうともしない紫耀がいつの間にか立っていて、思わず首を傾げた。
こちらに足を運んで来る紫耀に軽く頭を下げた廉は立ち上がる。

「じゃ、行くわ」
「あ。うん」
「またな」

そう言って廉は大きく手を振って去って行く。
その後ろ姿を見えなくなるまで眺めていた。

それからお互いの間に沈黙が流れた。
それを静かに破ったのは紫耀の方だった。

「もしかして付き合ってた奴ってさっきの？」

きっと言われるだろうなと薄々感じてはいたけれど、実際に言葉にされると更に現実味が増したような気がした。

「よく分かりましたね」
「何となくそう思った」
「何となく、ですか」
「後悔。してるでしょ」
「・・・何をですか」
「いろいろと」
「・・・・・・」

言葉が出ないくらいには、図星だった。

正に「いろいろ」後悔している。

でも、何が正解だったのかなんて、今でも分からない。分かるような日が来るとも思えない。

これまでの人生の中で後悔しない事の方が少なかったように思う。
学校で教科書を使って勉強するように、人生にも指南してくれるような教科書があればいいのに。

無意識のうちに足をブラつかせていた。
雑草の広がる地面を何とはなしに蹴ってみた。

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