Precious Lover … 37 ページ38
あやふやな覚醒を何度か繰り返し、晴れない気持ちのまま窓の外に目を向けた
カーテン越しに入る日差しは、とても柔らかで優しい…まるで、太輔の笑顔みたいだなぁ、なんて思った、点滴のチューブに繋がれたままの右腕…オレは、もうずっとこのままなんだろうか
こうして…目が痛くなるほど真っ白で無機質な空間に繋がれたまま、日々を過ごすしかないのか?
「オレは一体どこが悪いんですか?」
その問いかけに、新海先生は「家族の方がお越しいただいてからお話します」とだけしか答えてくれない
家族…それは太輔だ…
大切な大切な…愛しい人…
オレの全部で守りたいと願った人…
その人が、今一番大事な時期なのに…オレは余計なコトで煩わせてしまう、その事が堪らなく苦しかった
父さんは、太輔が帰国すると言っていた
ケータイは治療の妨げになるって言われて取り上げられてしまって、太輔に来るなと言うことも出来ない
太輔、ゴメンな…
いつもいつも、オレのことで心配ばっかかけて…
アレがただの頭痛じゃないことは、薄々分かっていた
鎮痛剤の投与で、今だけ痛みが抑えられているだけのコトも…
この先…オレはどうなるんだろう…
もし、オレのカラダが元のように戻らないとしたら…
太輔に負担を強いるだけの存在にしかなれないとしたら…
この先、太輔との時間を共に繋げないとしたら…
それなら…
「宏光!遅くなってゴメン!」
ノックも無しにドアが開き、息を切らし入ってきたオレだけの《光》…
その輝きを鈍らせる存在になってはいけないんだ…
「太輔…」
「良かった…ちゃんとあったかい…」
横になったオレを上から確かめるようにして、抱きしめてくれる、フワリと鼻先を掠める香りは、空港で最後に抱き締めてくれた時と同じ…伝わる体温は、最初に感じた温もりと何一つ変わらなかった
最初も最後も…太輔は、いつも同じ…
だけど…オレは…
手を伸ばせない…
自分からは触れられない……
「ひろ、一人にして悪かった、ずっと不安だったろ、…もう大丈夫だから…」
頬を擦り寄せ、そっと唇で触れながら心の底からホッとした表情を見せてくれる
オレの愛しい…太輔…
「…なんで帰ってきた?」
「宏光…?」
「オマエ今一番大事な時だろ!?どうして大事な仕事ほっぽり出して帰ってきたんだよっ!バカかよっ!!!」
「当たり前だろっ!家族なんだぞ、オレにはお前より大事なもんなんかねぇよっ!」
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GAYASAKURA(プロフ) - seaぺこさん» 続き覗いてくださればと思います!泣かせてゴメンなさい!コメ大感謝ですー! (2018年6月14日 23時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - seaぺこさん» こんばんは!コメありがとうございます!再読ありがとうございます、少しずつですが過去エピを入れております、あのシーンかぁと思っていただければ嬉しいです!ザワザワ展開ホントにゴメンなさいー泣泣、二人の絆を感じて下さるようにup頑張りますので、宜しければ (2018年6月14日 23時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
seaぺこ(プロフ) - こんにちは、何度も失礼します…またもやシリーズ初回から読み返していました泣 これ以上の試練…もし限られた時間なら24時間付いて居たいのに…嫁の事は自分の事より大切で心配で仕方ないのに、気持ちを隠して安心を与えようと振る舞う太輔旦那に涙です(TT) (2018年6月14日 16時) (レス) id: 5a95b02aa0 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - ふじみつさん» おります、覚えておられたら懐かしく思って頂けるのではないかと思います、なかなかのシリアス編となりそうですが、ラストは《藤北ぁぁぁ! 》で終われたらいいなぁと考えております、宜しければ続き覗いてくださればと思います!コメ大感謝です! (2018年6月13日 8時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - ふじみつさん» おはようございます!コメありがとうございます!はい、おそらく殆どの読み手様の予想がドンピシャだったのではないかと思いますwここからかなりの辛展開となります、申し訳ございませんー!今回は《記憶》がキーワードなので、過去エピ遡りながらupしようかなと思って (2018年6月13日 8時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2018年5月20日 20時