I wish to be your only one … L.O.V.E

Precious Lover … ３６ ページ37

お義父さんとのtellの後、オレはすぐさまネットで日本までのエアチケットを予約した

最短で乗れる便を予約し、服を着替え、パスポートやタブレット、ノーパソをバッグに入れた、最小限の荷物だけ作り帰国準備は終わった

宏光のケータイは繋がらないらしい、つまり宏光の様子は顔を見るまで分からないということか…歯噛みをするほどの焦燥感がオレを襲う

宏光…どんな様子なんだ…
苦しいことは無いのか？痛い思いをしてるんじゃないのか？

何一つ情報が得られない今、オレには飛行機の時間をひたすら待つしかなかった


ホテルフロントから内線が鳴った

「morning……、yes…」

手配したタクシーがエントランスに到着したと連絡だった

手荷物を持ち、部屋を出かけた時ケータイが鳴った、名前を見てオレは直ぐに画面をタップした

「裕太？オレだ」

小さく息を飲む音がして、少し焦ったような裕太の声が聞こえた

「太輔？ゴメン早くに、あのさヒロが…」
「知ってる、お義父さんから聞いた、これから空港に向かう」
「そか、なら良かった…ひろ、太輔には絶対に言うなって言ってて…」

聞かされた裕太の言葉に、オレは驚きを隠せない、同時に不安が喉元までせり上がって来るのをどうにか抑えながら、開いたエレベーターに乗った

「どうして？」
「太輔は今大きな仕事をしてるから、自分のコトで余計な負担掛けたくないって…ヒロらしいって言えばそうなんだけど…」

「なんでそんなコト…」

こんな時ですら、宏光はオレの事ばかり心配してる…いつだってアイツは自分よりもオレを優先させる…

けどオレにとって、その宏光の優しさは嬉しいというより、切なさしかなかった

「ひろ、今オレの勤務してる病院にいるんだ、脳外科に入院してる」

「脳外科！？なんで宏光そんなトコにいるんだ？」
「元々は担当してる建築現場で材木が倒れてきて、…それは長瀬さんて人がひろ庇ってくれて大丈夫だったんだけど、その時頭を打ったかもしれないって救急に運ばれてきたんだ、念の為の検査でCT取って…」

「CT…？何か別の疾患が見つかったのか？」

フロントには予め一時帰国を伝えていたから、オレはフロントに寄らずエントランスを出ると
待っているタクシーに向かった


「…脳に、腫瘍があるみたいだ…」

タクシーに乗り込んだ時…tellの向こうから聞かされた事実に、オレは絶句した


「腫…瘍……？」




…それが、オレと宏光の


《終わりのない恋》の、始まりだった…

Precious Lover … ３７→←Precious Lover … ３５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す