I wish to be your only one … L.O.V.E

Precious Lover … １０ ページ11

宏光から《今日は晩メシ作るから！》のLINEが来てから、オレの心はウキウキ弾みっぱなしｗｗ
宏光の手料理が嬉しいのは勿論だけど、一緒にメシ食えるというコトがオレのテンションを上げていた

役員になってからは、やたらと接待やら本社への出張で宏光と過ごす時間は目に見えて激減していった、宏光も事務所のチーフになって１０年余り…、着実に確実に自身のスキルとクライアントからの信頼を得て、ここ数年大きな依頼を受けることが多くなってきていた

宏光のデザインした建物が賞を取ったことも何度かあった、けれどその名誉に決して奢ることなく、ひたむきに真摯にクライアントの希望に応えようとしてる宏光を見る度に、愛しさと合わせて誇らしい気持ちにもなった

今の宏光は、一設計士ではなく第一線で活躍する《建築家》としての揺るぎない立場にいる、

泣き虫で寂しがり屋…甘えたいクセに強がって、自分の気持ちを押し殺してばかりだった宏光は、今では何人もの後輩を指導し、デザイン事務所を背負って立つ逞しいリーダーになっていた

目を輝やかせながら、後輩の話や仕事への意欲を話してくれる宏光


充実した日々を送ってくれているのが嬉しいのと同時に、ほんの少しだけ…寂しさに似た想いが浮かぶ時もある、いつもオレの隣にいてくれた宏光がどんどん遠くへ行ってしまうような…


いつの間にか繋いでいた手が解け、一人で前を向いて歩いて行ってしまう…そんな感覚なのかな…

だからオレも頑張らないと！、この先もずっと、愛しいヨメの隣に相応しいダンナでいたいからな！

左手に嵌めてるマリッジリングを見つめながら、オレは改めてそう思った


「悪いな、今日はこの時間で帰る」
「畏まりました、ではお車の手配を致します」

秘書が内線で車輌部に連絡を取ろうとするのを、オレは断った

「車はいい、今日は電車で帰るつもりだ」
「え？ですが…」
「ホントにいいんだ、帰りに用事があるから電車の方がいい」
「さようでございますか…畏まりました」
「うん、ありがとう」

尚も訝しげな秘書の表情に苦笑いで応え、オレは役員専用エレベーターを使い、オフィスを出た

そのまま駅に向かう、地下鉄久しぶりだな…


ケータイを取り出し、LINEの画面を出す


《駅前のスーパーで待ってるから》
少しして既読の文字が付く

《うん、先に着いたら連絡して》
《おけ！》

ヨメの買い出しに付き合うのは、ダンナの役目だもんな！


あれ、もしやコレって《でぇと》？

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