LOVE CASTE … 恋哀階級

CASTE … １８ ページ19

｢…いいですね、よくここまでデータを取られています、こちらとしても知りたかった内容が組み込まれていて助かります、…では私から院長に渡しておきます｣

分厚い資料ファイルをパタン…と閉じると、トモは満足そうな笑顔を浮かべオレ達に目を向けた

｢本当ですか？ありがとうございます！｣
｢短い時間によく揃えていただきました、こちらこそ…ありがとう｣
｢は、はい！｣

ここに来るまでの緊張感が一気に解けたのが分かるほど、タマは嬉しさを隠しきれない様だった

｢最終決定は院長です、まだ喜ばれるには早いと思いますよ…｣
やんわりと先走りを制してくるけど、タマはトモに認めてもらえただけで任務遂行できた感があるらしい

まあ、ここ数日の落ち込み具合を見てたオレには、タマのこの表情もアリかなと思った

オレも少しだけ肩の荷が降りたな…と思っていた時

｢今日の夜はお時間ありますか？｣とトモが声を掛けてきた

｢特に予定は入っていませんが…｣
｢では、お二人を食事にお誘いしても宜しいですか？｣

｢え？｣
唐突な誘いにタマは驚いていた
｢ご都合、悪いですか？｣

二人に…と言いながら明らかに視線はオレに向いている、向けられた親しげなその笑顔にタマが不思議そうな顔をした、

｢北山さんは？｣
｢玉森が良いなら、ご一緒します｣
｢玉森さん、いかがです？｣
｢あ…ではお受けします、ありがとうございます！｣

｢では、店の方は私からご連絡致します…北山さんのケータイ番号教えていただけますか？｣
｢はあ…｣

知ってるくせに今更？
何を考えてんだろ…と思いつつとりあえずメモを渡した

｢楽しみにしています、では…｣

極上の笑顔を見せ、トモは部屋を出ていった

ドアが閉まった途端タマがソファにカラダ投げ出すみたいにドサっとへたりこんだ

｢お、終わったぁ…｣
｢お疲れだったな、タマ｣
｢ねね、あの反応ってさ好感触だよね！｣
｢どうだろな…結果は出てみないと分かんねぇよ｣
｢そうだけどぉ、悪くは無いよね？｣
｢ん、まあそうかな…｣
｢だよね？あーなんかホッとしたァ…コレで会社に帰れる…ミツありがとう、山下ドクターミツのコト気に入ってるみたいじゃん？思い出したのかな？｣

｢な、何を？｣
｢え？同じ大学だったってコト、アレ？同窓でしょ？｣
｢あ…それな、うん…まあそう…｣
｢やっぱさ、そういうの大事だよね！、うんうん…あー今晩の接待で決めたいなぁ｣

接待か…

公然とトモと会う…何だかとても新鮮に思えた

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