雪華 … Snow Crystal ５

RHAPSODY：１８ ページ32

｢親友…ありがとう、その言葉を聞けてホントに嬉しいです｣

｢寂しがり屋の人見知りで、すげぇ甘えん坊…、色々ぶきっちょなヤツでしたけど、いつも相手のコトばっか気遣って、…優しくてキレイな心を持ってましたよ｣

懐かしい想い出をゆっくりと紐解くような表情…
そんな風に思ってくれてたんだ…

まるで自分のコトを言われてるように思うのは、やっぱり双子だからなのかな…
ちょっと照れくさい…

｢なんか、専務と似てますね｣

隣に座ってる二階堂がニンマリしながらそう言った

｢そうなの？｣
｢うん、この人いっつも相手のコトばっか考えて自分はガマンするんです、…ミツのコトだって…｣
｢二階堂！余計なこと言わなくていいからッ！｣

ったく、放っといたらナニ言い出すか…僕は慌ててその口を閉じるよう声をあげた

｢ミツ…？｣
｢え、ワッターと太輔さんの同級生でしょ？北山…宏光…｣
｢二階堂ッッ！｣
｢ッ、いってぇッ！…す、スイマセンッ！｣

弾みで後ろ頭叩くと、流石にマズいと思ったのかカラダを小さくして謝ってきた

けど、僕は二階堂の反応より横尾さんの表情の方に目がいった

｢…北山宏光を知ってるんですか？｣

何かを探るような顔…この人にはウソをつく必要は無いと思った

｢…知っています｣
｢ドコまで？｣

｢…全部…太輔との関わりは、全て知っています…｣

眉を潜め僕を見ていたけど、やがて小さくため息を付き、また想い出を手繰り寄せる様子を見せた…

｢如月さんを見た時、アイツ驚いたでしょう｣
｢そうですね…｣

｢太輔を失ってからのミツは、見ていられないほど憔悴しきってましたよ、…まるで太輔が、連れていけないミツの代わりにその心を持って行ってしまったんじゃないかと思うほど、アイツは感情一切無くしていました…まあ状況が状況なだけに最後の別れもなかったのでね、余計に信じられなかったんだと思います、笑顔の似合うミツに早く戻って欲しいと幼なじみのヤツとよく話をしましたよ…｣

｢そうなんだ…ミツ、グラウンド走ってる時めっちゃ楽しそうに笑ってるから、そんなツラい時期があったなんて信じらんないよな…｣


｢母校のサッカー部の顧問だしな、あの学校には太輔との想い出が今もソコかしこに残ってる…ミツには堪らなく愛しい場所なんだと思うよ、オレは大学が長崎だったから一旦ソコで就職したんけど、昔から自分の店持ちたくて脱サラして最近この店開いたんだ、あ、ミツ時々来ますよ、会えるといいですね｣

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