雪華 … Snow Crystal ５

RHAPSODY：３ ページ17

｢すみませんホントに…大丈夫ですか？｣
｢あ、はい…これくらいはサッカーやってるんで問題ないです｣

捻り挙げられた肘に残る痛みを抑えようと撫で撫でしながら、オレはバツの悪そうな顔をした二階堂と言う男の子に、ニッと笑って見せた

つられるように笑顔になりかけたけど、オレの隣に座ってる雅喜さんに《メッ！》て風に睨まれて、またカラダを小さくさせた、さっきの迫力からは想像出来ないくらい、なんつーかイタズラを叱られた子どもか！ｗｗ

｢二階堂、オマエさ誰でもカレでも知らないヤツとりあえず関西絡みにすんの止めろって、オレ言っただろ！｣

お盆に乗せたコーヒーを運んできた目鼻立ちクッキリの金パが呆れたようにそう言って、持ってたお盆でポコんと二階堂のアタマを叩いた

｢いってぇ…だってタダでさえきな臭い話が聞こえてきてんのに、この人専務とどういう関係か聞いても答えないから…つい…｣
｢あのさぁ、この人どう見てもカタギでしょ、仮に鉄砲玉にしたってちっさ過ぎるし、ねえ？｣

ねぇ？…て言われても、ちっさくて悪かったな！

｢コラ千賀、北山さんは朝イチは１８０あるんだよ、昼にはめり込むけどね！｣
｢え、なんでそのネタ…｣

思わず隣の雅喜さんの顔を見てしまう、ソレ…オレこの人に言ったこと無い…
でも雅喜さんは、特にそのコト何とも思ってないみたいで、目が合うとフワリと優しく微笑んだ…

いつまで経っても、オレはこの人の不意打ちの様な笑顔に慣れない…
太輔と同じ顔で、…同じタイミングで微笑むから……心拍数が上がるのを悟られないようにするだけで必死だった

｢…北山さん、僕に何か話があったんじゃないんですか？｣
｢あ、…そうです…えっと…｣

コッチを見てる二人…雅喜さんがオレの戸惑いに気付いて２人にアイコンタクトを送った

｢専務、何か有りましたら呼んでください｣
｢うん、暫くこの部屋に誰も近づけないでくれ…TELもね｣
｢はい｣

ペコリと動きをシンクロさせて、2人は出ていった

二人だけになると、一気に静けさが押し寄せる…

その近すぎる距離に、オレは少しだけ位置をずらす様に移動した

雅喜さんの表情に、ぎこちなさが生まれる…

｢…それで、僕に話というのは…｣

徐に立ち上がり、向かい合う席に移動したコトで、顔が真正面にある…
久しぶりに見る雅喜さんの顔は、やっぱり太輔と瓜二つだった…


｢…佐倉さんのコトです…｣

その名前をマトモにその人の顔を見て言えなくて、オレは俯いた

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