雪華 … Snow Crystal ５

RHAPSODY：２ ページ16

｢ココ…でいいのかな…｣

見上げた１０階建てのビルは、今流行りのデザイナーズ…って言うのか、ガラス張りの洒落た外観だった

美容院やブティック…カフェ…

どれもが雑誌に採り上げられそうな店ばかり…

雅喜さんから以前もらった名刺を頼りに、オレは彼が務めてる会社に来ていた

町並みもめちゃくちゃお洒落で、なんかオレ…やっぱり場違い感パない…

外壁にあるテナントの名前を確認すると、確かに最上階に《KISARAGI consultant》の文字があった

連絡も無しに来ちゃったけど、いいよな…


佐倉さんからの真夜中のTEL…

思い返す程、放っては置けなかった、オレのコトが原因で佐倉さん…あんなに傷付いてる…

《雅喜を取らないで…》

雅喜さんがどう言うつもりで佐倉さんに別れ話たのかは分からないけど、オレはもう誰にもそんな気持ちを持つことはないと決めていた

太輔への気持ちだけこの先持っていれば、誰にも迷惑は掛けないから…

それだけ伝えて、佐倉さんのトコに戻ってあげてほしいと頼んでみよう…そして、雅喜さんに会うのは、もう止めればいい…

あの人は、人のモノ…

束の間だったけど、太輔に繋がる人に出会えて良かったよな…手首のバングルをそっと撫でて、オレは開いたエレベーターに乗り最上階のボタンを押した

｢アンタ、ウチになんか用？｣

一緒に乗ってきた男の人にいきなり尋ねられて
オレは思わずその人の顔をガン見した

年下…かな、短髪黒髪…オレよりは背が高い…
アヒル口気味な顔…

｢…えっと…｣
｢最上階、ウチの会社しか無いよ、何の用？｣

口調はまあ普通だけど、目つきがちょっと違う…
警戒してるのが丸わかり…

｢あの、如月雅喜さんに会いたくて…｣
｢専務ぅ？アンタ専務の何？どういう関係？｣

矢継ぎ早にそう聞かれて戸惑うオレ

｢何って…｣
はて、何だろ…友達？…違うか…

その時、エレベーターのドアが開いた
出ようとしたオレをその男が立ち塞がるように制止を掛けてくる

｢え…ちょ…｣

｢言えねぇの？なんか怪しいな、…まさかテメェ関西のヤツらじゃねぇよな！｣
｢えッ！？｣

言うなり手首を捕まれ、後ろに捻り挙げられた

｢いってぇ、何だよ離せって！｣
｢ざけんなっ、関西のヤツなら通すわけにいかねぇよ｣
｢チゲぇよっッ！｣
｢ならテメェは一体専務のなんなんだよ！？｣
｢だからオレは…ッ｣


｢二階堂何してるッ！…ッ、北山さんっ！？｣

ガラス張りのドアの向こうから、雅喜さんが慌てた様子で出てきた

RHAPSODY：３→←RHAPSODY：１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す