Re:56 ページ8
「…いえ、今日はゆっくり休んで下さい…後のことはオレらでやっときます…」
「うん、…ホントにゴメンな…」
藤ヶ谷さんと部屋から出てきたチーフは、少しだけ顔色も良くなって、倒れる直前オレに見せた切羽詰まった悲壮感が表情から取り除かれていた…
鼻と目は、まだ泣いた後の独特の赤みが若干残ってるけど、口許にはホッとした様に微かな笑みが浮かんでいた
ソレはきっと、隣に寄り添ってるのがこの人だから…
「葉山くん、今日は宏光このまま連れて帰る、所長に伝えておいてくれるかな」
「分かりました…お大事に」
無意識なのか警戒してるのか、オレの前を通る時藤ヶ谷さんはチーフの肩を抱き、オレから隠す様にして通り過ぎた
いつもより頼りなく華奢に見えるその背中は、逞しく愛情深い腕に包まれていた
いつだって、あの人は全身でチーフを守ってる…
触れる肩に、見つめる瞳に…その想いは有り有りと見て取れた
どうして、あんなこと言ってしまったんだ…
勝てるわけなんかないのに…
「所長…葉山です」
「どうぞ」
頭を下げて中に入ると、応接セットのテーブルの上に雑誌が開いてあった
「チーフは帰ったのか?」
「はい、このまま連れて帰りますと伝えて欲しいと…藤ヶ谷さんが…」
「そうか、一応明日も休ませてくれて構わないとは伝えておいたんだが、宏光のコトだからまあ、出てくるだろうね、今日くらいは仕事は忘れさせてやりたくてね、…悪かったね、君を含め事務所の子達には迷惑をかける…許してやってくれ」
「いえ、チーフはずっと忙しくしてて…何もかも全部自分の至らなさが原因だからと、ご自分ばかり責めていたので、事務所のみんな心配していました、早く元気なチーフに戻ってほしいと全員思っています」
「そうか、なら良かった」
所長はそう言うと、ブラインドの上がった窓から外を眺めた、天気はいいけど風の冷たさが身を切るような日だった
「今日も寒そうだ…」
「ホントにそうですね……では仕事に戻ります」
「葉山くん…」
「はい」
「…宏光のコトは諦めてくれ、あの子は太輔くんじゃなければダメなんだ、離されたらきっと宏光は壊れてしまう…」
そんなコト、とっくに分かってた…
初めてチーフに藤ヶ谷さんのコト聞いた時の、あのはにかむ様な表情を見た時に、どれ程その人のことが好きで大切に思ってるか…すぐ分かった…
あの顔は…病院にいる母さんが父さんの作った作品を見てる時、よく浮かべていた笑顔と似ていたから…
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GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» 何かソレに絡んだお話upしたいと思います!宜しければまた他作にも遊びに来てくださいね!コメ大感謝です! (2017年2月24日 20時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - こっちゃんさん» こんばんは!コメありがとうございます!璃久の運命の人、どこにいるのでしょうw太輔ダンナが唯一恋敵と認めたので、まあまあいいヤツだと思いますww今は北海道で野外舞台を作ってる設定なんですwそう言えばホワイトデー間もなくですねw《雪華》がオールupしたら (2017年2月24日 20時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - 充瑠さん» お話をお届け出来ればと思っております!宜しければ、また他作も覗いて見てくださいね!コメ大感謝です! (2017年2月24日 20時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - 充瑠さん» こんばんは!コメありがとうございます!はい、何とか…無理くり終わらせましたw呆気ないわァとポチりながら思ってしまいましたが、ちょこっとでも楽しんでくださってれば嬉しいです、反省点抱えてのupとなりました、またこの夫婦にオファー依頼があればちゃんとした (2017年2月24日 20時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃん(プロフ) - 終わってしまいましたね。 葉山くんが運命の人に逢えたら良かったのですが、 ホワイトデーもあるので、ちょっと期待はしてますが。(。-_-。) (2017年2月24日 14時) (レス) id: 2a4d3f96ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2017年2月12日 13時