I wish to be your only one … Re:turn ２

Re:９０ ページ44

｢動揺？藤ヶ谷さんが？｣

漏らした本音に葉山くんが、目を丸くして食いついてきた、ホントに意外だって表情と声から伝わるけど、何となく…この子には隠さなくてもいいような気がした

｢…するよ、宏光に関してはオレは超ポンコツ…アイツに掛けてる言葉や行動、これで良かったのかって思いがいつもある…だからキミに《大切にしてない》って言われた時、ホントに揺れた…｣

気持ちをそのままを伝えると、葉山くんは眉を寄せ、申し訳無さを示してきた

｢すみません、オレ…何も分からずにエラそうなコト…｣
大きな体を竦めるように頭を下げてくる、今度はオレの方が慌てた

｢あ、違うよ、怒ったりとか全然してないんだ…ただね、一緒に暮らすようになってオレは宏光から今まで以上に幸せを貰ってるけど、オレはひろに、同じだけの気持ちを届けてやれてんのかな…って、思ったんだ…｣

オレの脳裏に、あの倒れた日…迎えに行ったオレに泣きながら自分の想いを吐き出してくれた宏光が浮かんできた

｢…どういうコトですか？｣

｢ん？…アイツ、オレにスゲェ…気ィ使ってたから…家のことも仕事も完璧に出来ないコトを、自分の力不足だってずっと思ってたみたいでな…出来ないコトは言ってくれればいいよって伝えてはいたけど、オレに悪いって思ってたんだろうな…大丈夫って言うばっかりで…でもソレってきっと…言わなかったんじゃなくて、言えなかったんだよな…アイツの今までを思えば、そんなコトすぐわかるコトなのに……宏光のコトちゃんと見てるつもり、分かってるつもりで、ホントは何一つ…見えてなかった…｣

…周りにはいつも笑顔を見せて…誰にも見えないトコロで涙零してた宏光…そんなコト、オレが一番良く知ってるのに…


｢藤ヶ谷さん…｣

｢…オレだけが、アイツの唯一の家族なのに…情ねぇ…宏光をオレの籍に入れて藤ヶ谷にすれば、ソレで全てが丸く…なんて思い上がりだ…、宏光甘えさせてやりたいって思ってたって、結局アイツに甘えてたのはオレなんだ…｣

持って行き場のない想いを握り潰すように、オレは目を閉じ膝の上の拳をギュッと握った…


｢…そんなコトねぇよ…｣

不意に頭の上から声がして顔を上げると、木製トレイを持った渉が、凪いだ表情でオレを見ていた

｢渉…｣

湯気の立つ何品かの料理をテーブルに置くと、渉はオレのアタマをポン…てしてきた

｢…オマエのキタミツへの気持ちがホンモノだから、キタミツもソレに応えようとしてるんだろ…｣

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