I wish to be your only one … Re:turn ２

Re:８８ ページ42

｢よお、お疲れ！｣
｢お疲れ様です、スイマセン、待ちました？｣
｢いや、そんなでもない、…悪かったな急に呼び出して｣
｢ホントですよ、イキナリ知らない番号連発だし出たら藤ヶ谷さんだし…誰に聞いたんです？オレのケー番｣
｢所長！｣
｢もお、個人情報流出ですってｗ｣

チーフと一緒に出席した保育園の地鎮祭、滞りなく全部済んで後は着工の佳き日を迎えるばかりとなった

珍しくスーツ姿のチーフ…まあ、それなり似合ってるけどなんか…やっぱなんて言うか、イイトコ《成人式》みたいな初々しさで、笑ってしまった
長瀬棟梁に至ってはもっと先を走ってて、《ベッピンさん、今度は振袖で来いや》って真顔で言うもんだから、チーフめっちゃ困ってたｗ

今夜は施主さんとのお祝い席が設けられてて、所長とチーフが出席

オレは地鎮祭まででお役御免だから、事務所に帰って片付けやら何やら済ませて、帰り支度をしてると知らない番号から着信があった
何回かスルーしたけど、流石に３回目になるとオレ宛かな…って思って耳に当てると聞こえてきたのは
｢葉山くん？藤ヶ谷太輔です…｣の声


｢今日一緒に晩メシ食わない？｣の誘いに、特に用事もないオレは、了解しましたの返事をした

そして、今に至る…という訳で

待ち合わせの最寄り駅に行くと、藤ヶ谷さんは先に着いていた

シュッとしたその佇まいは、いい意味で周りから浮いてるから、遠目でもすぐ分かった

すげ、トレンチコートめっちゃ似合うな…
目の前通る女子、みんなあの人見てんじゃん…

けど、藤ヶ谷さんスマホ見てるから周りの様子には気づいていないみたいで…
オレが声かけると、ニコって笑って手を上げた

マジ、イケメンオーラダダ漏れパない…


｢で、どこ行くんです？｣
｢ん、付いてこいよ、美味いもん腹いっぱい食わせてやる！｣
｢マジすか？やった！あ、言っときますけどオレめっちゃ食いますよ！｣
｢ま、そのカラダみたら少食には思えんわな、マジでけぇな、バスケとかしてた？｣
｢ちょこっと…でも基本チームプレーとか苦手です｣
｢あー、なるほどね｣

他愛もない話をしながら歩いていると、藤ヶ谷さんの足が止まった

｢ココだよ！｣
｢YOKOーcafé…って、ウチの手掛けた店ですよね｣
｢そ、オレと宏光の親友がやってる店でもあるんだ…おーい渉！来たぞ｣

可愛いアーチ型の扉を開けると、バジルのいい香りが鼻を擽ってきた

｢おお太輔、いらっしゃい…お、来たな、藤ヶ谷太輔の恋敵くん！｣

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