１３０話 ページ38
授業も終わり、今日からは一斉下校
同級生と挨拶を交わし、オレはある場所に向かった
《保健室》と書かれた文字を穴が開くほどガン見して、オレはドアをノックした
｢どうぞ…開いてるわよ｣
引き戸を開けると、デスクに座って書き物をしてる相澤センセイがいた
オレを見ると少しだけ眉を潜め、中へ入る様に促してきた
｢…太輔、熱下がったみたいね｣
｢はい、朝…オレのトコにも連絡ありました｣
｢好きな人に看病されたら、そりゃ治るわよね｣
そう言って、相澤センセイは忍び笑いを洩らした
｢あの…｣
｢昨日のこと？…なら言葉通りよ、あの男は私の元フィアンセ…ついでに言うなら私は太輔の母親の妹…叔母よ｣
｢え、叔母…さん？｣
｢オバサン……なんかその言い方、地味に傷つくんだけどな、もしやdisってる？｣
｢ち、違いますッ、…でも、…なんか、スイマセン…｣
いやソッチの《おばさん》じゃなくて…って言い訳しようとしたオレを見て、相澤センセイはケラケラ笑い出した
｢あーあ、も、北山くんてさ、ホントにウソつけない子ね、…そか、太輔はキミのそういう所に惹かれたんだね…あの子は…ウソだらけの中で育ってたから｣
｢ウソだらけ…？｣
｢あの子はね、特殊な世界に生まれて、本当なら無かったことにされる命だったのを、母親の強くて大きな愛情でどうにか生きていくことだけは許された、そして、父親も母親も亡くなってこの世にはいないって聞かされて、養父に育てられたの…それがある日、全部ウソだと知ってしまった、命と引換に表に出ることは許されない存在であることもね、
可愛がってくれてた養父が亡くなった後は、息を潜めてって言う表現がピッタリする程だったわ…｣
｢息を…潜めて…？｣
｢生まれてきた瞬間から、あの子は影なの…光の存在をより鮮明にするための影……、龍樹…昨日のあの男は、太輔の養父に付いていた部下よ…太輔を小さな頃からずっと見てきた……太輔を影から光に戻したいと願って、色々動いてるみたいね…いつまで経っても、バカなヤツ……｣
相澤センセイの瞳が、《龍樹》と名前を告げた時…物悲しい色を帯びた気がした
｢私と太輔に北山くんが不安に思うような関係は一つも無いわ、…太輔が初めて心から愛したい、そして愛されたいと願ったのは、北山くんだけよ…あの子には…きっとコレが最初で最後の、かけがえの無い恋、……北山くん、アナタは影として生きてきた太輔を、丸ごと受け止めるコトが出来るの？…｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 441人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「北山宏光」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
GAYASAKURA(プロフ) - さらさん» 連コメありがとうございます！あと３話で終わるといいのですがｗメンタル強化ありがとうございます！松永ってば、何やらかすつもりなんだか、変な関西人も出てきましたし、今日中には学ラブ編ENDと行きたいのですがｗ宜しければ続き覗いてみてくださいね！コメ大感謝！ (2017年1月21日 17時) (
レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - 未来さん» こんばんは！コメ＆お知らせありがとうございます！あ、またやらかしてましたｗ早速直しましたぁ、運命のクリスマスが間もなくやってきます、学ラブもやっと終わりです、ダラ長くてホントに申し訳なかったと…宜しければ続き覗いてみてくださいね！コメ大感謝です！ (2017年1月21日 17時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - ハッ！学ラブ編があと7話ということは高校生藤北のピュアラブが残りわずか…！うー、心臓に毛を生やして待ってます。(すでに138話最後の松永のセリフで “あーあーあーあー”ってなってます(涙)) (2017年1月21日 16時) (レス) id: f3ad69d823 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - 久ｺﾒです｡2人が今後どうなっていくのか心配ですね!?m(._.)m後､131が2つあるような気がするんですけど､私の気のせいだったら､ｺﾞﾒﾝﾅｻｲm(._.)m (2017年1月21日 14時) (携帯から) (レス) id: 546aa22f8e (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - さらさん» 学ラブ編は間もなくラスト…でもあと７話で終わるかな。ちと不安ですが頑張ります！宜しければ続き覗いて見て下さいませ！コメ大感謝です！ (2017年1月21日 12時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：GAYASAKURA
| 作成日時：2016年12月17日 23時
