l wish to be your only one …エピ４

ヒカル…７ ページ8

そう言えば…

「…車なんか、オマエ持ってたっけ…」

前来たときには無かったよな…
聞くともなしに、ポツリと呟いたオレに、太輔はコッチを振り返り、ウインクしてニコッと笑った

「納車になったばっかりだよ、車あると宏光こっち来たとき、一緒に色々出掛けられるだろ！…あ、コレだよ」


うわ…ドイツ車の四駆かよ…ボディカラーはパールブラック、車体もかなりデカい…

日本だと、狭い道は入れないだろうな…


ホイルとか、スペアタイヤのカバーとかに太輔らしいこだわりが凝縮され尽くしてる感じ

…まさにエリートの乗る車種だよな…


ベビーカーの座席部分を取り外し、そのまま後部座席に取り付ける…その慣れた手つきに何となく…気分が堕ちていく…


「このベビーカー、車のメーカーと同じ会社のなんだ、だから取り付けも一発で簡単なんだよ！…宏光はコッチ、助手席な！」

オレのスーツケースをトランクに入れ、助手席のドアを開けてくれる

ホントにいつもと変わらない太輔…

オレに対して疚しいことは何もないってコトか？


じっと顔を見てると、ん？て表情になったけど、

「とりあえず乗ってよ、ネタバラシは車の中でするから！宏光にお願いもあるしな」

楽しそうにそう言うと、オレを助手席に乗せドアを閉めると、運転席に颯爽と乗り込んできた、その動作にキュンとしてしまうオレってバカ？

胸ポケットのサングラスをかけ、車を走らせる…大きな車体のクセに、エンジン音はほとんどしない…後部座席では《ヒカル》が目を覚ます気配もなく眠っていた…


「驚かしてゴメンな、オレたちの子どもって言ったのは、ホントにジョークだから！ｸｽ、よもやアノ場で本気で殴られるとは思わなかった！」

クスクス笑いながら、太輔はチラッとオレを見てきた


「…だってさ…」

口ごもるオレ…この時点で、太輔が言ってることがホントなのはもうわかっていた

とは言え…この後、何て言えばいいんだ…


「あの子《ヒカル》って言うんだけど、もうネタバレすると、サラの子どもなんだよ」

「えっっ！サラの？」


「うん、そう！ま、正しく言えばサラの双子のお姉さんが、サラの為に産んだ子…かな？サラにとっては甥っ子なんだけど、養子縁組して正式にサラの子どもになってるんだ、…ﾌﾌ、間違っても、オレがどこかの女の人に産んでもらった子じゃないからな！」



そう言って、いたずらっ子みたいなカオして、隣にいるオレの頭に手を伸ばすとワシャワシャしてきた

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