l wish to be your only one …エピ４

ヒカル…４４ ページ47

｢やっぱり太輔だ、ハハ、オマエどうしたんだよ、こんな場所で会うなんてな、偶然にも程があるな！｣

後ろから呼び止められて振り返ると、そこにいたのは…


｢…トモセンセ…うわっ、ナニ？何でこんな所にいるんだよ、マジ？ホンモノ？｣

オレの目の前には、相変わらずの、スラリとしたカラダに黒の細みのタキシードでバッチリキメた《トモセンセ》がいた

最後に会ったのは…オレの誕パで、あの時お義父さんとツヨシさんの３人から、前々から欲しかったビンテージデニムをプレゼントしてもらったんだ

トモセンセは、驚くオレにキレイな笑顔を見せると

｢ホンモノだよ！、こんな偶然あるんだな、オレ今さ、半年だけコッチの総合病院に研修派遣で来てるんだ、大学の時の先輩がコッチで小児科医しててな｣

｢へえ、そうなんだ、え？じゃ、トモセンセの病院は？いま誰かしてくれてんの？｣

トモセンセはおじいさんの病院を継いでソコの院長先生をしてるハズだった


オレの質問に少しだけ照れくさそうにしながら


｢…婚約者がな、今アッチを見てくれてる｣

｢婚約……え、エエっ！トモセンセ、結婚すんのっ？｣


思わず上げた声に、トモセンセは苦笑いしなが
ら《シーっ》風に人差し指を唇に当てた

｢バカ、声デけぇよ！…ん、まあ…何とかな、彼女も同じ小児科医でな、この人なら2人でがんばれるかなと思ってさ…｣


ちょっと伏目がちに、口許に笑みを浮かべるトモセンセ…あ、今その人のコト思い出してるんだ…ていうのがわかる…見てるコッチにも、その幸せが伝わる笑顔…


そか…

トモセンセ…


…ずっと宏光を想っていたよな…いつもいつもこの人は、宏光の幸せだけを、その大きな心で願っていてくれた…きっとソレは、オレなんかが到底真似出来ないほどの、広くて大きな…優しい心…

宏光と別離を決めて、空港に向ったあの日…
断ち切れられるハズだった絆は、この人が繋いでくれた…自分の想いを終い込んで…


宏光と家族になって初めて、お義父さんの家で
トモセンセと会った

帰るとき、オレを引き止め

｢ヒロミツ大切にしてくれてありがとな…あの時、アイツを無理矢理でも空港に連れて行って良かった…オマエの隣にいれば、宏光はいつも笑顔でいられる…お前達が幸せで嬉しいよ｣

って、言ってくれた…


あの時…ああ、トモセンセの中で、宏光への想いが完結したんだなって…何となくわかった…オレにホントに全部、宏光の存在を委ねてくれたんだって…

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