l wish to be your only one …エピ４

ヒカル…１０ ページ12

「…悪いことが重なってちゃってさ、いつも頼んでたシッターさんも、サラ達の予定が急に変わってしまったから対応できなくて…サラ、ホントに困っててさ、オレひろ来るから丁度休暇取ってたから、じゃ、オレが面倒見るわって…昨日からヒカルはウチの子になってると言うワケなんだな！」

最後に！が付いてるし…コイツッてば、もうオレをゴリゴリ押しきるって気が満々で

「えええッ！…おま…ちょ…ってコトは、保護者不在の間、ヒカルの世話をオレらがするってコト？」

「そゆこと！」

信号が青になり、太輔は車を発進させた


「…そゆコトって、太輔オレ赤ん坊の世話なんかしたことねぇって！ムリって！」

「大丈夫！、オトナ二人いたらなんとかなるって！現にオレ、昨日からヒカル預かってるけど、特に問題なかったし！」


……なんですとっ？

じゃ、昨日オレがTELした時、ヒカルはソコにいたってコトかよ？はああ？まじコイツ、あん時ナンも言ってなかったじゃねぇかよっ！

「サラの姉さんは？ヒカルの母親には頼めないのかよ？」

「ヒカルの母親はサラだ、お姉さんじゃないよ…だからサラ困ってたんだよ…オレもオマエとおんなじコト、サラに言ったんだよ、けどサラ、お姉さんに頼るのは筋違いだって…ヒカルの母親はもう自分だから、絶対何とかするって言い張ってさ、別のシッターさんを急遽探したんだけど、…やっぱりさ、今まで会ったこともない人に大事な我が子、預けられないだろ…、ヒカルだって、初めて会う人といきなり何日もなんて…可哀想だ…いきなり母親と離されて、一人ぼっちなんて…」


…その言葉に、オレはずいぶん前の自分を思い出した…

父さんと母さんが離婚して、オレは母さんと一緒に叔父の裕太のウチに身を寄せていた、だけど…そのうち母さんはオレを置いて、行き先も告げず一人で出ていってしまって…

太輔が、オレを探しに濱ガクに来てくれなかったら…きっとオレは今もたった一人…明日への希望も幸せも見出だせずに、ひっそりと毎日を過ごしてと思う (l wish …１ 参照)


オレとヒカルの状況はかなり違うけど、母親から離されて、見も知らない人と…て言うところはスゴく似てる気がした…そして、その状況をやっぱり見過ごせない太輔の優しさも、オレはなんだか嬉しかった…


「…やっぱムリか？」

黙り込んでしまったオレを、太輔はこれ以上どう説得しようか迷ってる様だった…


だよな…ダンナにこんな顔させたら、ヨメの名が廃るわな！

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