83話 ページ35
「…この辺か…?」
…会えるなら会った方がいい…ハルの言葉に背中を押されたように、オレは編集部から受け取ったメモを見ながらその場所にきた……
古い一軒のアパート……
本当にココに父さんがいるんだろうか…
来ては見たものの、実際に訪ねるとなると
…躊躇ってしまう
やっぱり…
ドアの前から離れようとした時
「宏光…?」
目の前にいた男が、オレの名前を呼んだ…
「…まさかホントに会いに来てくれるなんて、思ってなかったよ…」
記憶の中にしか存在しなかった父親が、今…目の前にいる…キチンと片付けられた部屋で、オレは不思議な思いで、小さな台所でオレにお茶を入れてくれてる父親を、目で追っていた…
背の低いタンスの上に置いてある写真には、もの心つく前のオレが写っていた…ホントに、オレの父さんなんだ…
「…大きくなったな…宏光…」
目の前に座ったその人は、優しい笑顔を浮かべそう話しかけてきた…小さな子どもに伝えるような言い方が、なんか照れくさい…
「大きく…って、オレもう24だよ」
「そうか…もう離れてから20年以上経つのか…お母さんは、元気にしてるのか?」
「…うん、今離れて暮らしてるけど…変わりないよ…」
ポツンポツンと、途切れがちの会話が続く…
何を話せばいいのかもわからなくて…
「…あのさ、雑誌見てオレのコト…気付いたの?」
ちゃぶ台の上におかれてるあの経済誌…きっとあのページなんだろう…黄色い付箋がついてる…
「ん、ああ…今更どんなカオしてって、迷ったんだけどな…年かな…家族と言うものに、すごくこだわってしまったんだ…編集部にTELした時も、イタズラだと思われたかもな…連絡先伝えてたんだけど、まさかオマエに伝えてくれたなんて……本当に会えて嬉しいよ…」
どうかすると涙声に変わりそうなその低い声…
オレの中に、少しずつ彼が父親だと認識する思いが膨らんできた…いないことが当たり前の生活…突然の再会をどう受け止めればいいのか、会う前は不安だったけど、いざ会うとその思いは、安堵に変わってきていた…
話していくうちに、縮まっていく父親とオレの距離…
母親とは違う、妙な安心感…
「…じゃ、オレ帰ります…」
「気を付けてな…、また…はないかな…ハハ…」
アパートの下まで見送ってくれた時、父さんに寂しそうな笑顔が浮かんだ…
「また来るよ…」
「そうか、楽しみにしてる……あ、宏光」
「ん?」
「雑誌のもう一人は…オマエの友達なのか?」
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GAYASAKURA(プロフ) - かりんさん» おはようございます!いつもコメありがとうございます!藤北玉、確かに!みややがいないので、玉ちゃん泣きっぱですよねwwごめーんて思いながら書いてますwwまた覗いてくださーい!3もよろしくお願いいたします! (2016年1月4日 8時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - ふじみつさん» おはようございます!いつもコメありがとうございます!太輔ぴぃ、イケめてますか?よかったぁぁ!ちょっとキャラ変覚悟で伴いますが、みっくんへの会いは変わらないのでww見守ってやってくださーい!コメ感謝です!3もよろしくお願いいたします! (2016年1月4日 8時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
ふじみつ(プロフ) - こんばんは。レン・フレも〜〜大好きす。太ちゃんね、かっこよすぎですね。そしてやっぱり優しい。続き楽しみで仕方ありません。お正月そうそうワクワクしっぱなしです。ありがとうございます。 (2016年1月4日 1時) (レス) id: bd0b5699da (このIDを非表示/違反報告)
かりん(プロフ) - 太輔さんがかっこよすぎーー*\(^o^)/*裕太くんかわいそうだけど間に合って良かったヽ(;▽;)ノいつも王道の三角関係にキュンキュしてます! (2016年1月3日 21時) (レス) id: 6394949c3a (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - zinnikaさん» こんばんは!コメありがとうございます!太輔ぴぃ、走ってますよぉwwうーん…速攻藤北ぁ!になるかは…まだ検討中ですww移行になるのは必至かな…よかったら続き覗いてみてくださーい!コメ感謝でーす! (2016年1月3日 19時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2015年12月6日 12時