54.隠れた才能 ページ4
次の日の早朝。
Aと春奈が待ち合わせ場所で待っていると、木暮が目を擦りながらやってきた。
「おっ、来たね。まだ眠い？」
「当たり前だよ･･･。こんなに早く起きたことないんだからさ･･･」
「フフッ。でもちゃんと起きてきたね。じゃあ始めよう。春奈、頼んだよ」
「了解です」
Aはボールに足を乗せる。
木暮はその姿に思わず身震いした。
木暮もフットボールフロンティアで優勝した雷門の紅一点であり、“フィールドの妖精”と呼ばれる彼女の事はよく知っている。
だが実際に本人を目の前にすると、その威風堂々とした姿に戦慄した。
「木暮。まずは私からボールを奪ってごらん。それでシュートまで持ち込めたら合格だ。いいね？」
「わ、分かった･･･」
「よし、春奈！」
「はいっ！」
春奈がホイッスルを吹き鳴らした。
木暮はAの足元に向かって走り出した。
そのスピードは思っていた以上に速く、Aも春奈も目を見開く。
だがAは面白そうにフッと笑った。
「俺の勝ちだ！」
カットを確信した木暮だったが、Aはヒラリとかわした。
もう一回、と何度もボールを奪おうと試みたが、テクニックの差で全てかわされてしまう。
春奈は思わず溜め息を吐いたが、Aはその動きをジッと見つめていた。
しばらくして五分間の休憩を取り、二人は勝負を再開した。
しかし春奈は気づいた。
木暮のスピードが全く落ちていないことを。
「もしかして、あの子！」
その時、Aが動きを止めた。
「ストップ」
つられて木暮の動きも止まる。
「なんだよ、いいところだったのに！」
「アハハ、ゴメンゴメン。けどさ、アンタ気づいてる？自分の才能に」
「才能･･･？」
木暮はキョトンとしてAを見上げた。
「そう。体力、脚力、瞬発力。これらの身体能力において、アンタはトップクラスなんだ。開始から一時間くらい経っているのに、アンタは全ての動きに全くブレがない」
春奈はハッとして時計を見た。
確かに開始時刻から一時間は経過している。
「アンタ、今まで自分の良いとこや悪いとこを見直したことある？それらに対してどうすればいいかを考えたことある？アンタの弱点はサッカーの技術。その刃さえ磨けば、アンタは優秀な選手になれるんだよ」
木暮は考えてみた。
今まで部員達への仕返しの為のイタズラに手をつくしてばかりで、自分のサッカーを見直したことがなかったのだ。
「自分を振り返ってごらん。見直してごらん。イタズラよりもいいモノが見えてくる筈だよ」
その言葉はストンと、木暮の胸に自然にはまった。
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女アスパラ - すごく面白いです‼‼‼‼つずきまってます (10月22日 20時) (
レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
麗乃(プロフ) - 面白くて続きが気になります。更新待ってます‼ (2022年4月10日 13時) (レス) id: f8afe95a72 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - とても面白かったです！更新待ってます！ (2020年11月22日 16時) (レス) id: eec8bbc77e (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 妖怪ウォッチの作品共々更新再開お願いします｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2020年7月19日 0時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 此方の作品も更新お願いします。 (2020年5月3日 3時) (レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AZUSA | 作成日時：2017年12月4日 23時
