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人の機微にはどこか敏感な彼のことだから私の様子が変わったことには気が付いているだろうが深入りしてこない
彼はそういった意味でも人との距離を図るのが上手なのだろう…羨ましい限りである
もういなくなってしまった彼…灰原くんは屈託ない性格をしていたが私がいうのもなんだが鈍い所があった
そこは違うな、とまで考えてから「当たり前だ」と自分を叱咤する
灰原くんは灰原くん
翔くんは翔くん
姉は姉
私は私
姉と比べられたくないくせに自分は他の人を比べてる
本当に…
「……、おいしいね」
こんな自分
大嫌い
「うん！旨い……あ！そうだっ」
ペロリとデザートを平らげた翔くんが私に同意した後声を上げた
「あぶねー」と言いながら男の人が持つにはやや大きめの鞄から簡易に包装された紙袋を取り出す
翔くんと私が働いている喫茶店では珈琲豆や紅茶も販売しており、持ち帰りの際に使用する紙袋だった
見慣れたそれに首を傾げる
翔くんは私にニカッと笑いながら紙袋を差し出してきたので、殆んど反射的に受け取ってしまった
全く意図が分からない私は紙袋を手に持ったまま眉を下げ困り果てる
「はは！困ってるなあっ。それ花子ちゃんに。受け取ってよ」
「開けてみて」と催促されて戸惑いながらも紙袋を開くと小さな瓶が出てきた
中には茶葉らしきものが詰められている
「……紅茶？」
「うん、紅茶。俺がブレンドしたやつなんだよねー、プレゼント！」
…プレゼント？
ニカリと向けられた笑顔の前で、やはり意図が分からず先程と同様に首を傾げていると、翔くんは照れたように頬を掻いた
「…ウチで働き出してもう一ヶ月だろ？この一ヶ月は試用期間だったからさ…なんていうか一ヶ月記念日？これからも宜しくってことで」
「…き、ねんび」
慣れない響きの単語に思わず辿々しく返してしまう
確かに一ヶ月の試用期間後正式に採用との条件提示であったが、仕事が楽しくてすっかり忘れてしまっていた
働き始めてもうひと月が経つという驚きと、不意打ちで貰った人生で初めての記念日のプレゼントへの驚きに思考が停止し、どう反応していいのか分からずにいる
「花子ちゃんみたいな子が来てくれて嬉しいんだ。体したもんじゃないけど受け取って」
恐らく本当に喜んでくれているのだろう
初めて自分を認められた気がして頭がフワリとする不思議な感覚を覚えた
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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます！！是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (
レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます！！続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます！ (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります！パスワードを教えて頂きたいです！ (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました！ パスワードを教えていただけないでしょうか？ (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かのん | 作成日時：2021年2月26日 0時
