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『そうだ。アンタ花子に任務が回らない様にしてるんだって?』
高専の敷地内で偶々出会った硝子と他愛もない世間話をしていたが、ふいに硝子が思い出した疑問を僕に投げ掛けた
然も当然と言わんばかりに「そだよー」と返すと、硝子は呆れたように溜め息を吐いた
『あのさ、それちょっとやり過ぎなんじゃない?下級の任務も全部でしょ?』
『は?なんで』
『いや、何でって…』
『討伐等級の間違いなんてよくあるだろ…用心に越したことはないよ』
片手で額を抑えやや疲労滲ませた表情をする硝子は『違う違う』と小さく手を振る
『何でアンタがそこまで関わるのかって話しさ。花子だっていつまでも他の女の尻追い掛けてる元旦那の干渉なんか受けたかないんじゃない?』
『他に言い方ない?』
『現実的な話、任務なけりゃ給金もないし生活困るでしょーが』
『ん?』
生活?
寝耳に水な表情をする僕に『このお坊っちゃんが』と硝子が毒づいた
…それは考えなかった
そうか、困るのか
『そもそも何で離婚した…離婚された相手にそこまで干渉すんの?アンタが望んだ結果じゃないの?クズ』
『なんでチョイチョイ悪口入れるの?』
僕は特に気にするでもなく天を仰ぐ
何で気にするのか何かそんなの…
『怪我して欲しくないからに決まってんじゃん』
目を見開き動きを止める硝子に逆に僕が首を傾げた
当たり前のことを驚かれる意味が分からない
『折角色んな顔もしてくれるようになったしね。花子がまた笑わなくなっても嫌だし…任務で死ぬなんてあり得ないから。だから手が空いてる時はアホなことしてないか花子のアパートまで様子見に行ってるよー』
『……(ストーカー…ここにとんでもなく無自覚なストーカーがいる…っ)』
『え、何』
『い、いや何でもない。…まさかアンタがそんなに花子のこと好きになってたなんて知らなかったよ…』
まるで変態を見るような硝子の表情に若干苛立ち尋ねるが本当に思ったことを口にする訳がなく
誤魔化しで言われたそのひと言に僕は文字通り固まった
『……………好き?僕が、花子のこと?』
『は、…だって私に離婚思い止まるように説得頼んだり、こうやってストーカーしたりしてるし?そうじゃん。まぁ、元鞘に戻るのは難しそうだけど』
『あ、ストーカーって言っちゃった』と自分の口を抑える硝子だか、今の僕にはどうでもいいことだった
……は?
そこからはなし崩しだった
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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます!!是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます! (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります!パスワードを教えて頂きたいです! (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました! パスワードを教えていただけないでしょうか? (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月26日 0時