君へのSong (ページ45)

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45＊Daigo Side ページ45

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「あぁ、そういや」

自転車を押しながら、淡いベージュのダッフルコートを着たAに話しかけた。

今週のシフトはいつも通り、Aと被るようにバイトリーダー特権を使用したから、家まで送れる。

「正門と仲直りした」

「ええー。ほんとですかー！！はぁー！よかったー！！」

Aはロングスカートをふわりと翻して振り返ると、ふにゃっとした顔で笑う。

仲直りって言葉が正しいんかわからんけど、Aの心配に背中を押されて、昨日かけた正門のとの電話を思い返す。

「この前は、せっかく来てくれたのに、きつい言い方してごめん」

深夜、ワンコールで出た正門に謝ると

「俺こそごめんな。もう喋ってくれへんかと思った」

弱々しい声で答えてきて、

「Aのことは、俺はなんも言わんし、気もつかわんといてほしい」

「うん」

「Aと正門がどうにかなろうと、俺は正門とギクシャクしたりしたくないし」

「うん…」

「でもAのことこれ以上泣かすのは許さん」

って何回も考えた言葉を言うと正門は、

「わかった。ありがとう。大ちゃんほんまええ男やな。とんだライバルやわ、気ぃぬいてられへん」

ってなんかちょっと涙声になっとって、

「大ちゃんて呼ぶな。きっしょ」

って返すと笑いながら泣いてて…ほんま意味わからんかったなぁ。

「ほんとによかった！もう心配したんですから！ちゃんと謝ってえらかったですね大吾さん！」

Aはほんのちょっとだけ背伸びして、俺の頭をわしゃわしゃと撫でてくる。

「ちょっとやめろや。犬ちゃうねん。ていうかなんで俺が悪い前提やねん」

Aの笑顔と手のひらの感触に心臓が早くなって、慌てて思いっきりほっぺをつまんでやる。

「いたーい！大吾さん女の子の顔にひどいー」

抗議するAを笑ってると、いつのまにかAの家の前まで来ていて、

「Aちゃん…と大吾？」

「正門さん？」

「正門？」

そこには、ギターケースを背負った正門が立っていた。