君へのSong (ページ38)

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「正門さん…」

目を開けると大好きな人はわたしの枕元に顔をうつ伏せて眠っていた。

手はぎゅっと握りしめられたまま。

綺麗な金髪。

男の人の匂い。

「起きた？」

正門さんが顔をあげる。

「熱どう？」

あったかくなった冷えピタを優しく外されて額に触れる手の甲。

薬が効いたのがだいぶ楽になってる気がする。

「ちょっと楽になりました」

「ん、よかった」

時計をみると2時間も眠っていたらしい。

「正門さん予定とか大丈夫ですか？」

「うん、今日はオフやし。なんか食べれそう？」

こくんと頷くと、正門さんは冷蔵庫からゼリーを出してきてくれた。

甘くて冷たい食感が心地いい。

「なんかAちゃんの部屋、女の子の部屋って感じやのに、俺のCDとかロックの雑誌とか浮いてるよな」

正門さんは部屋を見渡しながら笑う。

「え…全然片付けてなくって…恥ずかしい…」

こんなことならもっと綺麗に飾っておけばよかったのに、山積みのCDと雑誌が確かに幅を利かせてる。

「いや、ほんまありがたいなぁって。いつかちゃんと返せたらええねんけど」

正門さんは切なそうに微笑むと

「あれは誕生日プレゼント？」

机の上に置いたままのシャネルの紙袋を指差した。

「あ…はい」

「誰からもらったん？」

「大吾さんがくれて…なんか紙袋も綺麗でもったいないなーって思っちゃって捨てれなくて」

貧乏性ですよねって笑うと正門さんは

「誕生日の日さ…もしかして大吾とおった？」

とうつむいた。

「たまたま会って送ってくれました」

正門さんの様子になんとなく家にあげたとは言いにくくて言葉を濁す。

「そっか…元気になったら俺ももう１回お祝いさせてくれる？」

正門さんは金髪と革ジャンに似合わないくらいなぜか潤んだ目でわたしを見つめてる。

「はい。そんなのいつでも」

わたしにしてくれるみたいにくしゃくしゃと金髪を撫でると、正門さんはやめてやって笑いながらいつもの優しい顔に戻っていた。