君へのSong (ページ37)

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「ほんまに38度あるやん」

正門さんは渡した体温計を見て、苦しそうな顔をする。

「とりあえずポカリとゼリー買ってきたから、食べれそうやったら食べてな」

昨日のことなんて忘れちゃったみたいに、自然にわたしの部屋に上がってテキパキと世話をやいてくれる正門さん。

「ありがとう…ございます」

「いや、ほぼほぼ俺のせいやし…」

正門さんは気まずそうに笑いながら、冷えピタの袋を開けている。

大きなてのひらが、ベットの上に座ったままのわたしの前髪を寄せて、ひんやりとした感触が額に馴染む。

「はい、寝て」

強制的に横にならされると、正門さんはわたしの枕元の床に胡座をかいて頭を撫でた。

「風邪もやけど、昨日、変なことしてごめん」

ひんやりとした額とあったかいてのひらが心地いい。

「変な…ことなんかじゃ…ないです」

正門さんのてのひらが動きを止める。

「嬉しかったです」

熱のせい…熱のせいやから…

見つめる先の正門さんの頬はほんのり赤くなってる気がする。

「うん…そっか」

正門さんは照れ笑いすると、くしゃくしゃと髪を撫でた。

なんでキスしたんですか…ってききたいのに、

答えを知るのも、

関係に名前をつけて正門さんに迷惑をかけるのも怖くて、

でもそれはきっと、

正門さんもおんなじ気持ちなんやろうか…

「眠るまで手握っててくれませんか？」

「なにそれ、かわいいねんけど」

正門さんはふふっと笑うとわたしのほてった指先を絡ませてぎゅっと握った。