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正門さんのワンマンライブはあいにくの雨だった。
でもチケットは即日完売したらしく、いつのまにか増えたたくさんのファンがライブハウスを埋め尽くしていた。
早番のチケットをもらったのに、なんとなく正面から正門さんを見るのが怖くて、端の方に場所をとる。
ここならきっと見つからない。
正門さんはステージの上の届かない人になってくれる。
正門さんが現れて、歓声があがる。
何度も何度も路上で聞いたそのイントロに胸が熱くなる。
わたしの誕生日1日くらいたぶんどってことない…
これだけ正門さんに惹かれるファンがいて、未来があって…
盛り上がる曲が続いて、バラードになると正門さんはゆっくりと客席を見渡しながら歌い始めた。
金髪の前髪の先に汗の雫がきらきら光る。
きれいやなぁ…
あの日抱きよせられた腕はギターを抱えて、
あの日頬に触れた指先は弦を弾く。
あの日わたしの瞳を見ていた正門さんの瞳は…
なんでわたしを見てるん…？
正門さんは端の方に隠れたわたしを見つめて、ワンフレーズを歌うと切なそうに微笑んだ。
「新曲を歌わせてください」
そう言って正門さんが歌い始めたのは、一方通行の恋の歌だった。
明るくて今にも走り出せそうなメロディなのに、運ばれてくる言葉は切なくて苦しい。
「実はこの新曲、イレブン飲料さんのCM曲に決まりました！」
どっと歓声がわいた。
もうひとつのサプライズってこれやったんや…
噛みしめるように歓声を受ける正門さんはキラキラと輝いていて、
嬉しくて嬉しくてたまらない。
CMのタイアップって、そんなのデビューしててもなかなかない。
昨日から緩みきった涙腺はまた頬を濡らして、ステージの正門さんがぼやけて見えた。
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みぃ - N.Dormitory から読んでました！面白かったです！ (2019年9月6日 22時) (
レス) id: 5f0045d6aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華音 | 作成日時：2019年4月7日 21時
