君へのSong (ページ27)

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誕生日当日。

「正門さんの家って…やっぱり、考えすぎってわかってるんですけど…緊張するー！」

「手を動かせ」

「20歳最初の日を…正門さんと過ごせるって…そんな贅沢…どうしたらいいんか…」

「あんなぁA、その話、俺バイトのたびにきかされてんねんけど」

大吾さんがテーブルを拭きながらため息をつく。

「だって！そわそわして…はぁ…」

「何を期待してんねん」

そう言われたら答えづらいけれど、女の子として見てくれてるのかななんて、期待くらいしてもいいやんか。

「Aさん、誕生日なんですか？」

詩織ちゃんがきいてくる。

「そやねん～」

「わ！おめでとうございます！」

パチパチと手を叩いてくれる詩織ちゃん。

いい子だなぁ…

「ありがと～！じゃ、お先に失礼します！！」

大吾さんもおめでとうくらい言ってくれればいいのに。

夕方に駅まで正門さんが迎えに来てくれるらしいから、一旦家に帰って準備しなきゃ。

ライブ関係のイベントが何もない日に2人で会うってはじめてかもしれない。

シャワーを浴びて、1週間かけて選んだ服に着替えて、念入りにメイクしなおす。

億が1、何かあったら困るから新しい下着も買った。

正門さんのお気に入りの曲を流したイヤホンを耳に突っ込んで家を出る。

明るいギターの音につられて街も踊ってるみたい。

20歳最初の日を正門さんと過ごせるなんて、

わたしは世界一幸せ者かもしれない。