君へのSong (ページ17)

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「いやぁ、大吾が来てくれるなんて嬉しいわぁ。いつぶり？」

演奏を終えた正門さんはギターケースを背負いながら笑う。

別に大吾さんに嫉妬なんてしたくないのに、

そんな嬉しそうな顔をされるとなんていうか…

「こいつに連れてこられただけ」

大吾さんは小さな声で答える。

「大吾、せっかくやし、このまま飯行こうや。Aちゃんももし大丈夫やったら行かへん？」

「いいんですか？」

「当たり前やん」

大吾さんがきたからなのか、観客が増えたからなのか、正門さんはちょっぴりテンションが高くてかわいい。

「なんで戻ってきてんねん」

わたしたちは結局、バイト先のファミレスに戻ってきた。

「落ち着くやん。ここ」

正門さんはミートドリアをすくいながら微笑んでいる。

「今日、すごい人でしたね」

「そやねん。びっくりしたなぁ。なんかすごいわ」

「あの彩月さんて人に喋り掛けられてんけど、毎回きとるん？」

大吾さんは名刺を眺めている。

「彩月さん、ええ人やで。なんもない俺のために、何回も動いてくれて。雑誌もまだ発売1週間やけど、なかなか反響もええみたいやし」

「ふうん。まぁ綺麗な人やけど、俺はなんか信用ならんわ」

「そう？まぁ、あの真っ赤なリップはいつも完璧で綺麗やな」

「そこかよ」

大吾さんは名刺をしまいながらつっこんでいた。