50話 ページ24
緑谷side
僕は今、関係者専用の入口で轟くんと向かい合っていた。
昼休憩に入ってすぐ、彼に呼び出されたからだ。
緑谷｢あの…話って何？早くしないと、食堂すごい混みそうだし…えっと…｣
困惑する僕に、轟くんは見たまま何も言わない。
僕は、轟くんの視線に息を呑んだ。
かっちゃんとはまた違う、冷たい威圧感。
轟｢気圧された。てめぇの誓約を破っちまう程によ｣
ようやく轟くんが話し出し、僕は彼の左側を見た。
使えば有利になる場面でも使わなかった…左側の事…
轟｢飯田も、上鳴も、八百万も、常闇も、麗日も…感じてなかった。最後の場面、あの場で俺だけが気圧された。本気のオールマイトを身近で経験した俺だけ｣
緑谷｢それ…つまり…どういう…？｣
轟｢お前に、同様の何かを感じたって事だ｣
轟｢緑谷、お前…｣
緑谷｢…｣
轟｢オールマイトの隠し子か何かか？｣
轟くんの放った言葉に、僕はポカンとした。
隠し…子…！？
轟『お前、オールマイトに目ぇかけられてるよな？』
僕は、開会式前の轟くんの言葉を思い出した。
な、なるほど…そうなるのか！
轟｢どうなんだ？｣
緑谷｢ち、違うよそれは！って言っても、もし本当に隠し子だったら違うって言うに決まってるから納得しないと思うけど、とにかくそんなんじゃなくて…
そもそも逆に聞くけど、なんで僕なんかにそんな…？｣
僕は、慌ててそう言った。
轟｢そんなんじゃなくて、って言い方は少なくとも何かしら言えない繋がりがあるって事だな？｣
緑谷｢！｣
僕は、轟くんから目を逸らした。
轟｢俺の親父はエンデヴァー。知ってるだろ、万年No.2のヒーローだ。お前がNo.1ヒーローの何かを持ってるなら、俺は…尚更勝たなきゃいけねぇ｣
そう言う轟くんの目は、少なくともエンデヴァーが好きとかそういう目じゃなかった。
むしろ、嫌悪感を抱いている目だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
