検索窓
今日:8 hit、昨日:36 hit、合計:359,795 hit

____…第6話…____ ページ6

あくびが出る、お昼の3時。うーん。眠くなる時間だなぁ。


キヨは、まーた子供たちと鬼ごっこしてるし。



椅子に寄りかかり、伸びをした。




「お疲れ。緑川さん。」



お盆を持ったフジさんが、コーヒーを出してくれた。



「…本当に、申し訳ないのですが……私、コーヒー飲めないんですよ……」


「へ?あっ、そうなの!?ごめんね!!」



ああ、せっかく用意してくれたのに、本当に申し訳ない。

謝ると、「気にしないで」と笑っていた。


本当に、フジさんは優しいなぁ。



すると、外から、ガシャンッと大きな音が聞こえた。

またリンさんかな?と思ったが、どうやら違うらしい。


木々に囲まれた中で、面倒くさそうな顔をしているキヨの姿があった。




不思議に思い、二人で外に出ると、


割れた植木バチと、茎から折れた花。その前に立つキヨ。



フジさんの顔を見て、「げっ」と声を漏らした。


あの、青くて小さなお花。確か、フジさんが、一番大切にしていた花だ。



いっつも話しかけて、大切そうに微笑んでいた。




まさか、そのお花を、蹴り飛ばしちゃったの?


するとキヨは、ヘラッと笑って、私達の前に立った。



「いやーフジ!!お前の大事にしてた花、壊しちまった!」



豪快に笑い、キヨは、フジさんの肩をバシバシ叩いた。



うわぁ。また喧嘩が始まるよ。



と、ため息を吐こうとした瞬間、


フジさんが、ものすごい勢いで、キヨの胸ぐらを掴んだ。




「…何笑ってるの?謝ることが先じゃない?」



その時のフジさんの声は、低くて、冷たかった。



「…はぁ?何?お前まさか、花一つ壊されただけでマジギレかよ?
花なんて、また買えばよくね?」



ため息を吐いたキヨを見て、フジさんは、傷付いたように、目を見開いた。


しばらくその状態でいると、

少し震えて、下を向いた彼は、やがて、ゆっくり手を離した。




そして




「…………………。」



何も言わず、お城の中に入って行った。


てっきり、またいつもの喧嘩が始まると思って身構えていたので、驚いた。



な、なんか、フジさん………




「い、今すぐ謝って来て!!キヨ!!」


「はあ?なんで?」



「なんでって…さっきのフジさん、いつもと違ったっていうか…本気で怒ってなかった!?」




「……知らん。花一つで怒るなんて、意味が分からねぇ。」


ふいっと顔を反らし、キヨは、何処かへ歩いて行った。

____…第7話…____→←____…第5話…____


ラッキーアイテム

大きなカマ


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (489 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
602人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あみ - 本編最高すぎてこちらも読ませていただきましたが、、、いや本当に神です以上!!(?)本当に好みというかなんというか。ヒ.ジ.キ.の小説で一番好きかもしれません。こ.ーす.け.をのけ者扱いにしているような小説が多いイメージがあったので。この小説が本当大好きです! (2021年7月25日 14時) (レス) id: 2c5fd51ba4 (このIDを非表示/違反報告)
みー - すごく、すごく良かったですっっっっっ...!(大号泣) (2019年11月22日 7時) (レス) id: 7c0d6b05b3 (このIDを非表示/違反報告)
かえで@utaitelove(プロフ) - もう最高です…!!感動したと思ったら次はキュンキュンしてほんと私の心臓どうしてくれるんですか!影葉さん最高です( ;∀;)他の作品も全部読ませて頂きましたがほんとに天才ですね!?これからも頑張ってください (2019年1月1日 21時) (レス) id: a0615ac09b (このIDを非表示/違反報告)
アンジ* - 今になってもずっと読んでます!狂った国の王子様、こーすけが出てきたシーンで大号泣してしまいました。番外編、ぜひ読みたいです!影葉さん、感動をありがとうございました! (2018年8月20日 20時) (レス) id: a0d4f82c90 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - ヒラ可愛い!死にそう! (2018年2月3日 5時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:影葉 | 作成日時:2015年12月5日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。