†狂ったアナタは王子様†【実.況.者】

____…第43話…____ ページ43

「ヒラくーん。そろそろ、自分に素直になってもいいんやなーい?」

「そーそー。キヨくんに取られちゃうよー?」


…なんで、散歩から帰って来て自分の部屋に戻ったら、この人達がいるんだろう。

この三人の相手はあまりしたくないので、兵士を呼ぶ。
指を鳴らそうとした時、その左手を、はすおくんに強く掴まれた。


「ヒラさん。うちの国王の話、聞いてあげて下さい。」

「ごめんね。不法侵入者のお話を聞いてあげられるほど、僕は優しくない。」


仕方ない。兵士が来ないなら、僕が追い出すしか………
レトルトくん、何してるの?

ベッドの下や、枕の下、クローゼットを覗いたり。まあ、大した物は入っていないけれど。


「嘘や……嘘や!!おいPｰP!!コイツ、えろ本持っとらんぞ!?」

「はあああ!?そんなの男じゃない!!ヒラくんて本当に女の子だったんだね!?」


あぁ……あの、こーすけがよく読んでいた本のことかな。


「うん…こーすけが読んでたのを貸してもらったけど、よく分からなかったから………」

「おいお前ら。こんな純粋なヒラくんを汚すな。」


はすおくんが、僕の手を離して言った。…純粋ではない。殺しに関しては、真っ黒で汚い。

よくフジに言われた。「ヒラの頭の中は、殺しとお菓子しか無い」と。


いや、そんな事は……僕だって馬鹿じゃないもん。他のことだって考えて…



“国王”



…他の、こと…………




“国王に、女として見てもらいたいな”





「うおお!?ヒラくんどないしたん!?」


よろけて、後ろの扉に、思いっきり頭をぶつけた。三人が駆け寄ってくる。
い、痛い………

すると、PｰPさんが、ニヤニヤ僕を見る。


「もー国王様ったら!!素直になれって!!緑川ちゃんのことでしょ?」


人生で、一番大きく心臓が動いた。バクバクうるさい。

すると、レトルトくんは仁王立ちし、はすおくんは、カメラで僕を連写した。


「やっぱり、部屋の前で盗み聞きしとったの、アンタやな!!」

「おー。ヒラくんの赤面顔とか超レアー。高く売れそう。国中にバラまいてもいい?」

「…やめて……顔なんて赤くなってないもん……」


力なく両手で顔を隠した。ああ、もう。いろんな表情を見せちゃダメだ。しっかりしないと。
どんどん相手に隙を見せちゃう。


「…ヒラくんさ、どうしてそんなに、人に心を開かないの?」

「僕は、1つの国の王です。完璧じゃなきゃいけないの。隙なんて見せられない。心なんて開くわけない」

____…第44話…____→←____…第42話…____

ラッキーアイテム

大きなカマ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す