____…第42話…____ ページ42
秘書が食堂から出て行くと、手を振っていたレトルトくんから、笑顔が消えた。
そして、僕の方を見てひじをつく。
「ヒラくん。俺とAちゃんの恋バナを盗み聞きとは、趣味が悪いなぁ。」
「なんの話?」
トーストにバターを塗りながら聞いた。あ、苺ジャムと林檎ジャムもあるなぁ。どうしよう。
よし。バターにしよう。
「昨日の夜、Aちゃんの部屋の前にいたの、アンタやろ?」
彼がそう言いかけた時、指をパチンッと鳴らした。途端に 城中の兵士が集まる。
「この人を お城から追い出してくれる?」
「はあ!?ちょ、まっ、待ってやヒラくん!?」
兵士さんにかつがれ、レトルトくんは、ポイッと城の外へと放り出された。
“どーせAちゃんは、ヒラくん大好きやもんなー”
“女として見てもらいたいな、と思いまして……”
“国王に好きになってもらえるように、頑張ります”
「…ん?…………ん!?ヒラ!?危ない!!」
「あ…………」
椅子の脚に引っ掛かり、ステーンと転んでしまった。顔が痛い。
うぅ…鼻血でそう……
心配そうに駆け寄るフジに、「大丈夫」とだけ言って、立ち上がる。
そして、よろめく足をおさえながら、自分の部屋に戻った。
「ヒラ………?」
心配そうに呟く執事は、目をパチパチさせ、その場に立ち尽くした。
* * *
「緑川さん!!」
廊下を歩いていたら、名前を呼ばれた。後ろを振り返ると、フジさんがこちらに走って来ていた。
何か、心配そうに表情を歪めている。
「あのさ………」
フジさんの言葉を遮り、近くで大きな音がした。何かがぶつかったような音。
驚いてそちらに走ると、階段下で、国王が苦痛そうに頭をおさえて 座り込んでいた。
「うっ………痛い……………」
「ヒラ!!どうしたの!?」
「あ、いや……階段から落ちただけだから……気にしないで………」
私に気付いた国王は、すぐに立ち上がって、階段を登って行ってしまった。
大丈夫かなぁ………
「あれなんだけど、どう思う?」
フジさんは、私の方を向いた。『あれ』?
「ヒラだよ。いつもは絶対にしないことを朝からしてて…
つまずいて転んだり、大好きなケーキも「いらない」って断ったり、階段から落っこちたり…」
!?
国王がケーキを食べない、だと…!?
「大変ですフジさん!!それは大事件ですよ!?」
「だよねぇ!?どうしたらいいと思う!?」
____…第43話…____→←____…第41話…____
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あみ - 本編最高すぎてこちらも読ませていただきましたが、、、いや本当に神です以上!!(?)本当に好みというかなんというか。ヒ.ジ.キ.の小説で一番好きかもしれません。こ.ーす.け.をのけ者扱いにしているような小説が多いイメージがあったので。この小説が本当大好きです! (2021年7月25日 14時) (レス) id: 2c5fd51ba4 (このIDを非表示/違反報告)
みー - すごく、すごく良かったですっっっっっ...!(大号泣) (2019年11月22日 7時) (レス) id: 7c0d6b05b3 (このIDを非表示/違反報告)
かえで@utaitelove(プロフ) - もう最高です…!!感動したと思ったら次はキュンキュンしてほんと私の心臓どうしてくれるんですか!影葉さん最高です( ;∀;)他の作品も全部読ませて頂きましたがほんとに天才ですね!?これからも頑張ってください (2019年1月1日 21時) (レス) id: a0615ac09b (このIDを非表示/違反報告)
アンジ* - 今になってもずっと読んでます!狂った国の王子様、こーすけが出てきたシーンで大号泣してしまいました。番外編、ぜひ読みたいです!影葉さん、感動をありがとうございました! (2018年8月20日 20時) (レス) id: a0d4f82c90 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - ヒラ可愛い!死にそう! (2018年2月3日 5時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影葉 | 作成日時:2015年12月5日 14時