____…第27話…____ ページ27
とにかく、フジにかけられていた手錠をぶった斬った。
「あ…」と、自由になった手を悲しそうに見るフジ。マジできもいな。束縛されていた方が好きなんて。
コテッと首を傾げるフジ。そして、くるっと俺の方を向いた。
「ねえキヨ。PーPさんが蹴ってくれなくなったの。なんでかなぁ……気持ち良かったのに……」
そして、俺の肩を掴んで来る。げっ、と声を出してしまった。
目を細めて俺を見てきた。まるで「キヨが蹴ってくれない?」とでも言うように。
あぁ、もう。男は無理なんだよ。
一つだけ、フジを元に戻すやり方がある。まあ、PーPとつわはすくんにも迷惑がかかるけれど。
「うるさい」って顔をしかめるんだろうな。
でも、この気持ち悪いフジを放って置くよりはマシだろ。
バチッと、コイツの頬を両手で挟み、大きく息を吸った。そして、スッとフジの耳元にスタンバイ。
必殺。無表情かーらーのー?
「目ぇ覚まさんかぁぁぁぁい!!このドM執事があああああ!!」
カッと目を開き、さっきよりも大声で叫んだ。ヤッベ。自分でも耳が痛い。うるさすぎる。
疲れ切っていたPーPは、俺の叫び声を二回も聞いて、もはや意識が飛びそうだ。
そして、「なんでまた叫んだんですか」と両耳をおさえる つわはすくん。おお、怒ってる怒ってる。
だけどな。この叫び声を耳元で聞いたフジの方が、絶対辛いぞ。
と ため息を着いていると、横からすごい勢いで、拳が飛んできた。その場に倒れ混む。
驚いて、三人で顔を上げた。
「うるっさいなぁ……何叫んでんの!?耳すっごい痛いんだけど!!このバカ大臣!!」
腕を組んで、上から俺を怒るフジ。
俺の靴の上に足を乗せ、グリグリと踏み潰してくる。
「しかも耳元で叫んで、どういう………キヨ?」
「良かった…いつものフジに戻った……」
「はあ?」
思わず、床に座り込んだ。本当に安心したわ。もう、二度とさっきみたいなフジに戻ってほしくない。
キモすぎるから。
つわはすくんは、目をパチパチさせる。
「もしかして、フジさん………自分がドMだったこと、覚えてないんですか……?」
「え?なんの話……あれ?ここどこ?確か俺、PーPさんに蹴られて、上着を脱いで……んん?」
突然、部屋の扉がギギギッと開いた。
音のした方を見ると、十字架のネックレスに、十字架の写った瞳の男。高くて、冷たい声が響く。
「さっきっからやかましいなぁ。蟹が不味くなんねんけど。」
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あみ - 本編最高すぎてこちらも読ませていただきましたが、、、いや本当に神です以上!!(?)本当に好みというかなんというか。ヒ.ジ.キ.の小説で一番好きかもしれません。こ.ーす.け.をのけ者扱いにしているような小説が多いイメージがあったので。この小説が本当大好きです! (2021年7月25日 14時) (レス) id: 2c5fd51ba4 (このIDを非表示/違反報告)
みー - すごく、すごく良かったですっっっっっ...!(大号泣) (2019年11月22日 7時) (レス) id: 7c0d6b05b3 (このIDを非表示/違反報告)
かえで@utaitelove(プロフ) - もう最高です…!!感動したと思ったら次はキュンキュンしてほんと私の心臓どうしてくれるんですか!影葉さん最高です( ;∀;)他の作品も全部読ませて頂きましたがほんとに天才ですね!?これからも頑張ってください (2019年1月1日 21時) (レス) id: a0615ac09b (このIDを非表示/違反報告)
アンジ* - 今になってもずっと読んでます!狂った国の王子様、こーすけが出てきたシーンで大号泣してしまいました。番外編、ぜひ読みたいです!影葉さん、感動をありがとうございました! (2018年8月20日 20時) (レス) id: a0d4f82c90 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - ヒラ可愛い!死にそう! (2018年2月3日 5時) (レス) id: c27b932811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:影葉 | 作成日時:2015年12月5日 14時